1992 Fiscal Year Annual Research Report
電場・磁場等の微弱エネルギによる処理水の物性測定と農業への利用に関する研究
Project/Area Number |
04660266
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
松岡 孝尚 高知大学, 農学部, 教授 (70036739)
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Keywords | 微小エネルギー / 水処理 / 表面張力 / 膜透過性 / 電気分解 / 電磁場 / 植物生長 / 限界ミセル濃度 |
Research Abstract |
本研究は、微弱エネルギによる生体への特異現象が、生体などに含まれる水を媒体としているという考えにたち、各種エネルギによる処理と水の物性変化ならびに処理水の農業生産への利用の可能性について検討するものである。 平成4年度は電場(電気石粒状物、電気分解)及び磁場による水処理をい、処理条件と処理効果の関係及び処理水の植物生長への影響について調べた。まず、処理効果に関して得られた結果は、電気石粒状物の充填層中を通水することにより、水の表面張力の値が低下し、膜透過性が向上することである。通水処理直後の水の表面張力は、水温25〜30℃において無処理水に比べて10〜15%低下し、時間の経過とともに無処理水の値に復元する。復元に要する時間は、原水が蒸留水の場合は約60分、水道水の場合は約150分であった。また、水の表面張力は、温度の上昇とともにほぼ直線的に低下するが、処理水は無処理水に比べて直線の傾きが3倍以上大きいことが分かった。次に処理水の膜透過性を調べるため、セルロース膜を用いて浸透圧差による透過速度を測定し、無処理水と比較した結果、処理水の透過性が大きいことが分かった。これは、水の構造変化による粘性係数の低下を意味するものと考えられる。この現象の説明は、米の吸水試験の結果からも裏付けられた。一方、処理水の植物生長への影響を調べるため、電気分解水、電気石処理水、磁場処理水について、インキュベータ中でダイコンの初期生長を比較した結果、無処理水に比べていずれの処理水による栽培においても生体重、乾物重とも大きい結果が得られた。このほか界面活性剤を用いて、処理水と無処理水の限界ミセル濃度(CMC)を測定した結果、処理水のCMCの値は無処理水の約1/2であることが分かった。この結果は今後環境問題への寄与も期待できる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 松岡 孝尚: "電気石処理水の物性変化に関する2,3の知見" 高知大学農学部附属システム園芸実験施設研究報告. 第9号. 45-54 (1992)
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[Publications] 松岡 孝尚: "電磁場処理水の物性と植物生長への影響" 高知大学農学部附属システム園芸実験施設研究報告. 第9号. 55-63 (1992)