1993 Fiscal Year Annual Research Report
エラスチンを構成する新架橋アミノ酸オキソデスモシンの生合成と機能に関する研究
Project/Area Number |
04660301
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
須山 享三 東北大学, 農学部, 助教授 (70005635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大友 泰 東北大学, 農学部, 教務技官
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Keywords | オキソデスモシン / イソオキソデスモシン / エラスチン / 架橋アミノ酸 / アミノ酸 / デスモシン |
Research Abstract |
エラスチンは繊維芽細胞、平滑筋細胞、血管内皮細胞および軟骨細胞などで合成され、水溶性の分子量約7万のトロポエラスチンとして細胞外に分泌されるが、分子内および分子間で架橋を形成し、器官の形成および細胞の分化、移動、増殖、代謝などに関わる機能を発現するようになると考えられている。最近では細胞を認識する認識機構を含む、高度な生命現象主担っていることが明らかになってきている。 本研究によって、牛項靭帯および大動脈エラスチンからエラスチンを構成する新規な2種のジヒドロオキソピリジン環式架橋アミノ酸を分離することができた。これらのアミノ酸は世界的に見ても全くその存在が知られていないアミノ酸であり、その構造からオキソデスモシンおよびイソオキソデスモシンと名称づけ、その極めて特長的な構造の確定を、高分解能機器分析によって明らかにすることができた。構造から、これらのアミノ酸は水溶液中において、いくつかの互変異生体として存在するが、異性体の一つは強い蛍光をもつことから、これがエラスチンの持つ蛍光物質の一つであると推定された。ついで、これら2種のアミノ酸の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析を試みた。分析に先立ち、エラスチンの加水分解条件の設定を行ったが、その結果、これらのアミノ酸は酸素による分解を受けることを認め、ラジカルスカベンジャーとしてフェノールを用いて加水分解を行う事によって、定量的に加水分解のできることを明らかにした。HPLCは、カウンターイオンとしてSDSを用いた、ODSカラムによった条件を設定した。 オキソおよびイソオキソデスモシンはその構造から、それぞれデスモシンイソデスモシンの代謝の中間体である可能性があり、これによって従来知られていなかったエラスチンの架橋構造の分解が明らかにされれば、肺気腫などの疾患の原因解明に資すると考えられる。
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[Publications] 須山享三.中村文彦: "Two fluorescent crosslinking aminoacid having N-substituted dihydooxopyridine skeleton isolated from bovine elastin" Bioorganic and Medicinal Chemistry. 2. 1767-1770 (1992)
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[Publications] 中村文彦.須山享三: "Isolation and characterization of a new crosslinking amino acid “Oxodesmosine" from acid hydrolysate of elastin" Proc.1st Intn.Conf.Amino Acid Reserch. 645-649 (1992)
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[Publications] 中村文彦.須山享三: "Two novel oxopyridine crosslinks of bovine elastin" Connective Tissue. 24. 127-128 (1992)
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[Publications] 須山享三.中村文彦: "HPLC of elastin crosslinking amino acid" Connective Tissue. 24. 125-126 (1992)
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[Publications] 中村文彦.須山享三: "Synthesis of anabasine-6'-carboxylic acid from aldosine,the aldol crosslinking amino acid of elastin" Jounal Chemical Society(London)Perkin Trans 1. 1993. 1007-1010 (1993)