1992 Fiscal Year Annual Research Report
飼料RNA由来プリン化合物のニワトリ腸粘膜細胞における代謝と腸管吸収
Project/Area Number |
04660304
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
唐澤 豊 信州大学, 農学部, 教授 (30060528)
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Keywords | 飼料RNA / ニワトリ / プリン代謝 / プリン吸収 / 腸粘膜細胞 |
Research Abstract |
単細胞タンパク質に多量に含まれるRNAのアデニンがニワトリヒナの飼料摂取量や成長の低下ならびに腎の腫大を引き起こすといわれているが,本研究はこれらの原因を究明するために1)ニワトリ腸粘膜細胞におけるプリン化合物の代謝,および2)アデニンとAMPの空腸からの吸収を調べた。得られた結果を要約すると次のとうりである。 1)腸粘膜細胞におけるヌクレオチドとヌクレオシドの分解とこれらからの尿酸生成は,プリン塩基の分解やプリン塩基からの尿酸生成よりもいずれも高く,プリン塩基の中でもとりわけアデニンの分解とこれからの尿酸生成が遅かった。AMPとGMPは,AMP→イノシン→ヒポキサンチン→キサンチン→尿酸,GMP→グアノシン→グアニン→キサンチン→尿酸,のように代謝されることが示唆された。ヌクレオチドとヌクレオシドの代謝の際の中間産物として遊離アデニンは検出されなかった。これらの結果から,飼料のRNA中のアデニンは消化の過程で生成されるヌクレオチドやヌクレオシドを経て尿酸にまで腸粘膜で転換され,腸管内に遊離のアデニンを生じないことが明らかになった。 2)AMPを空腸サック内へ投与した時,門脈血中にヒポキサンチンキサンチンおよび尿酸濃度は有意に増加したが,アデニン濃度の増加は認められなかった。しかしアデニンを空腸サック内へ投与した場合には門脈血中にもとのレベルの3倍のアデニンが増加した。したがって腸管内にRNA消化の結果増加したヌクレオチドは,遊離アデニンの形で吸収されることはなく,遊離アデニンを給与した場合にのみ腸管からのアデニン吸収があることが,初めて明らかになった。 本研究は,RNA給与時に認められるニワトリ腎の腫大は,今まで考えられていたようにRNA中のアデニンによって引き起こされるのではなく,別の原因によって起こることを初めて示した。
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