1992 Fiscal Year Annual Research Report
鶏のコレステロール代謝と鶏卵中コレステロール含量に影響を及ぼす要因に関する研究
Project/Area Number |
04660305
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
田中 桂一 岐阜大学, 農学部, 教授 (30021710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 滋 岐阜大学, 農学部, 助教授 (90115395)
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Keywords | 鶏ヒナ / 脂肪添加飼料 / 小腸粘膜細胞 / コレステロール合成 / HMG-CoA reductase / 肝臓 / 血漿中コレステロール / 飽和脂肪酸 |
Research Abstract |
目的:鶏卵にはコレステロールが比較的高い割合で含まれており、鶏卵中のコレステロールを低下させる飼養法の研究がなされている。そのため鶏のコレステロール代謝を明確にし、卵黄中コレステロール含量に影響を及ぼす要因を明らかにするために、卵黄中コレステロールの起源を肝臓だけでなく、肝臓以外の臓器、小腸粘膜について検討した。小腸は生体内コレステロール合成の臓器として、肝臓に次いでいるとされているので、色々なタイプの脂肪を添加した飼料を鶏ヒナに給与し、小腸と肝臓におけるコレステロール合成の律速酵素であるHMG-CoA reductase活性を測定した。方法: 白色レグホーン種雄ヒナ(4週齢)を供試し、実験Iでは、オリーブ油、サフラワー油、タローあるいはココナツ油を6%添加した飼料を、実験IIでは、炭素数の異なる飽和脂肪酸(C_8〜C_<18>)のトリグリセリドを添加した飼料を給与し、14日間飼育した。実験終了日にすべての鶏の翼下静脈から採血した後、肝臓と小腸粘膜細胞(空腸と回腸)を採取し、それぞれのHMG-CoA reductase活性を測定した。結果:実験I・肝臓におけるHMG-CoA reductase活性はタロー添加区において、他の3区より高い値を示し、小腸粘膜細胞ではこの酵素の活性はサフラワー油とココナツ油がオリーブ油添加区に比べて低い値を示した。実験II・肝臓におけるHMG-CoA reductase活性は脂肪無添加区とトリラウリン(C_<12>)添加区が高い値を示した。小腸粘膜細胞では、空腸、回腸共に、トリラウリン添加区が他のトリグリセリド添加区より高い活性を示した。 また空腸より回腸の方がこの酵素の活性は高かった。 実験IとIIの結果から、小腸粘膜細胞におけるコレステロール合成能は、肝臓でのそれと、また血漿、肝臓、小腸粘膜中のコレステロール含量との間には相関が観察されなかった。
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