1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04660308
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
青木 孝良 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (70034460)
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Keywords | 乳清タンパク質 / β-ラクトグロブリン / グルコース6リン酸 / アミノカルボニル反応 / リン酸化 |
Research Abstract |
カゼインはリン酸カルシウムを可溶化できるし,カルシウムの腸管吸収を促進する機能があることが明らかにされている.カゼインの機能発現に関与しているのはリン酸基であり,リン酸基を持たない乳清タンパク質にもリン酸基を導入すればカゼインと同様の機能を付与できるものと期待できる.タンパク質のリン酸化には酵素的および化学的方法があるが,食品タンパク質への適用は難しい.アミノカルボニル反応を利用してグルコース6リン酸(G6P)を結合させれば,糖の親水性とリン酸基の機能を同時に付与できるのでタンパク質の機能性は飛躍的に向上するものと思われる.そこで,本研究ではアミノカルボニル反応により乳性タンパク質にG6Pを結合させ,その機能性を調べた.乳清タンパク質は生脱脂乳から分離し,更にβ-ラクトグロブリン(β-Lg)を調製した.これらのタンパク質とG6Pを1:0.94の割合でpH7.5で溶解し,凍結乾燥後,50゚C,相対湿度65%で0-3日間貯蔵して反応生成物を調製し,420nmの吸光度で褐変を,高速液体ゲルクロマトグラフィーでタンパク質の重合度を,フルオレスカミンを用いた蛍光光度法で遊離のアミノ基を測定した.乳清タンパク質はオボアルブミンの場合に比べて褐変とタンパク質の重合が早く進行したので,反応時間をできる限り短くした方が良いと思われた.β-Lgでは0.5日間の反応で,約50%のアミノ基がブロックされ,1.23%のリンが結合した.タンパク質/G6P比の影響を調べたところ,タンパク質/β-Lg比が0.5以上ではリンの結合量に影響を及ぼさなかった.そこで,0.5あるいは1日反応させて調製したG6P-β-Lgについて機能性を調べた.pH7.0における50%熱変性温度はβ-Lgでは83.5゚Cであったが,G6P-β-Lgは100゚Cでも加熱しても凝固しなくて熱安定性が向上した.また,G6Pが結合するとβ-Lgの乳化性が向上した。来年度はリン酸基の機能を調べる.
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