1993 Fiscal Year Annual Research Report
オーエスキー病のIntracellular Immunizationに関する研究
Project/Area Number |
04660312
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小野 悦郎 北海道大学, 獣医学部, 助手 (00160903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 悠起臣 北海道大学, 獣医学部, 教授 (80206218)
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Keywords | オーエスキー病 / ヘルペスウイルス / 転写 / Intracellular immunization |
Research Abstract |
オーエスキー病ウイルス(ADV)前初期蛋白(IE180)分子上の転写調節領域を決定するため、種々の欠失IE遺伝子を作製し、各々の発現蛋白がIE遺伝子、前期TKおよび後期gX遺伝子の転写に及ぼす影響をCATアッセイにより解析した。IEプロモーターに対する転写抑制作用は、IE180のカルボキシル末端(C末)側の397アミノ酸配列を欠失した蛋白においても強い抑制が認められたが、さらに163アミノ酸配列を欠失させた蛋白では消失した。また、IE180のアミノ末端(N末)側の428アミノ酸配列を欠失した蛋白は強い転写抑制作用を示したが、さらに617番目まで欠失させることにより、この転写抑制作用は消失した。以上の成績は、IE180の428から1063番目までのアミノ酸配列に自己の転写抑制に関与する領域が存在することを示唆している。TKおよびgXプロモーターに対する転写増強作用は、IE180のN末側の132アミノ酸配列を欠失させることにより消失した。また、C末欠失による転写増強作用は、IEプロモーターに対する転写抑制作用と同様にC末側397アミノ酸配列の欠失では変化が認められず、さらにアミノ酸を163欠失させることにより消失した。以上の成績は、IE180の1から1063番目までのアミノ酸配列が転写増強作用に必須であることを示している。 IE遺伝子の転写を抑制するtransdominant mutant遺伝子をCPK細胞にトランスフェクトし、遺伝子導入細胞株を樹立した。この遺伝子導入細胞にウイルスを感染させた時に、対照の細胞に比べウイルスの増殖は約10分の1に抑制された。この結果は、IE180のtransdominant mutantにADVの増殖を抑制する作用があることを示し、その抑制はIE遺伝子の転写抑制によると考えられる。
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