1992 Fiscal Year Annual Research Report
鶏ロイコチトゾーン原虫のin vitro培養に関する研究
Project/Area Number |
04660328
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小野 忠相 大阪府立大学, 農学部, 教授 (60029783)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 義博 大阪府立大学, 農学部, 助手 (00092768)
|
Keywords | 鶏ロイコチトゾーン原虫 / in vitro培養 / 生殖母体 / 生殖母体形成 |
Research Abstract |
先に行った研究により、in vitroで鶏ロイコチトゾーン原虫を培養することが出来るようになった。本実験では先ず、1.鶏赤血球内における生殖母体の発育に最も適した培養条件を設定することを目的として実験を行った。その結果、1)鶏ロイコチトゾーン原虫のin vitroでの培養は鶏にスポロゾイトを接種して原虫に感染させた後、最も多くの原虫が赤血球内に認められる15日目の感染赤血球を培養材料として用いると発育が悪く、原虫が比較的少なくても14日目の感染赤血球を培養するとその後の発育が良いことが分かった。2)培地はRPMI1640培地を基礎にして熱帯熱マラリア原虫培養用に考案された改良培地を用いたが、鶏ロイコチトゾーン原虫の培養では熱帯熱マラリア原虫の培養と異なりグルタミンの発育促進効果はあまりみられなかった。3)培養に用いるガスは5%二酸化炭素+空気の気相、即ち通常の炭酸ガス孵卵器を用いると溶血も少なく、原虫の発育が良好であった。4)次にRPMI1640培地中に含まれる塩類濃度の影響を検討した。塩類濃度を1.2倍濃くすると感染赤血球の溶血が阻止され、原虫の発育が良好になることが認められた。5)原虫の培養には血清が必要であり、各種の血清即ち鶏、人、馬、仔牛、牛胎児などの血清を使用して発育に及ぼす効果を比較した。その結果、馬血清を使用し、人正常赤血球を添加すると生殖母体の発育が良好で、生殖母体が成熟型にまで発育することが認められた。次に、2.培養した鶏ロイコチトゾーン原虫に対する各種薬剤の効果を検討した。先ず、1)培養熱帯熱マラリア原虫で生殖母体形成誘発効果のあるBerenil(最終濃度500ng/ml)を作用させたが、生殖母体形成率を高める効果は認められず、本原虫の生殖母体形成機構が熱帯熱マラリア原虫のそれとは異なることが考えられた。なお、2)ヘパリン(最終濃度1〜10u/ml)を培地に添加すると、感染赤血球の溶血が防止され発育の進んだ生殖母体が多く出現した。
|