1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04660331
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 芳幸 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (70167485)
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Keywords | ウシ / 初期胚 / 体外受精卵 / 体外培養 |
Research Abstract |
これまでの研究を基に、タンパク質(アルブミン)ならびにグルコースを除去し、代わりにポリビニールアルコール(PVA)と20種類のアミノ酸(BME必須アミノ酸およびMEM非必須アミノ酸)を添加した化学組成の明らかな完全合成培地(修正合成卵管液)を基礎培地としで用い、ウシ初期胚の体外培養について検討した。初期胚は、屠体卵巣由来の卵子を体外成熟させ、体外授精により作出し、試験に用いた。 その結果、培養気相中の酸素ガス濃度が胚の発育を左右する大きな要因のひとつであり、その濃度は5%が最適であること、高濃度(20%)酸素は桑実胚までの発育のみならず、桑実胚〜胚盤胞の発育にも悪影響を及ぼすことが明らかになった。さらに、5%酸素ガスの気相を採用すれば、完全合成培地だけを用いた体外培養法でも、卵管上皮細胞との共培養法に優る培養成果が得られ、共培養の必要のないことも判った。 培地組成、とくにアミノ酸については、タウリン(10mM)を加え、さらにグリシン10mMを増量添加することにより、体外受精卵の胚盤胞への発育率が高まり、胚盤胞の品質改善(細胞数の増加)されることも判った。さらに、細胞増殖因子であるインスリンは、アミノ酸との共存で胚の発育を促進し、その有効濃度は0.5〜10μg/mlであること、またインスリン様細胞増殖因子(IGF-I、20ng/ml)もインスリンと同様に胚の発育促進効果のあることが判った。 さらに、培地作成の基礎となる水質も胚の発育に影響を与え、イオン交換水や二次蒸留水よりもMilli-Q水の適していることが判った。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] YOSHIOKA,K.: "In vitro culture of bovine one-cell embryos derived from in vitro fertilization using a semi-chemically defined medium" J.Vet.Med.Sci.55. 901-904 (1993)
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[Publications] 松井基純: "ウシ体外受精卵の発育におけるInsulinとInsulin-like growth factor-Iの影響" 哺乳動物卵子学会誌. 11(印刷中). (1994)