1992 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌細胞における分化転換機構の解明、特に下垂体前葉のソマトマンモトロフの解析
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04670003
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
井上 金治 群馬大学, 内分泌研究所, 助教授 (50091963)
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Keywords | 下垂体前葉 / 分化転換 / ソマトマンモトロフ / 成長ホルモン / プロラクチン / インスリン / 細胞増殖 / 3胞星状細胞 |
Research Abstract |
この研究では内分泌細胞の分化転換のモデル細胞として私達がラットの下垂体腫瘍から独自に樹立したMATIS細胞を使用した。MATIS細胞は正常の培養条件下では成長ホルモンのみを産生し,プロラクチンを産生しないが,培養液にインスリンないしインスリン様成長因子を加えると成長ホルモン産生細胞が減少し,新たにプロラクチン細胞が出現してくる。すなわち成長ホルモン産生細胞がプロラクチン産生細胞に分化転換する。このMATIS細胞を使用して本年度は以下の事を明らかにした。 1)インスリンの他に上皮成長因子(EGF)を加えるとプロラクチン産生細胞への分化転換が早まり、その過程において成長ホルモンとプロラクチンを同時に産生するソマトマンモトロフが出現する。 2)ブロモデオキシラリジン(Bndu)によって増殖期の細胞を観察するとプロラクチン産生細胞に分化転換した細胞はBnduを取り込まないことが明らかになった。すなわち分化転換後は細胞の増殖が抑制されることを示している。すなわち細胞増殖の過程のMATIS細胞がプロラクチン細胞に分化する際には、その増殖が止まりGo期になることを示している。 3)コロニーを形成する細胞が分化転換する場合には殆んど全部の細胞が同調してプロラクチン細胞に分化する。恐らくこれらの細胞コロニー間に細胞分化のために何らかの情報伝達手段が存在するのか、もしくはこれらの細胞コロニーが産生する細胞外マトリックスに分化転換を促す機構が存在する事が考えられた。 4)下垂体において細胞の増殖や分化に関与すると思われる前葉の支持細胞である3胞星状細胞の細胞株(TATIGF)が新たに樹立された。
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[Publications] Sakai et al.: "Light and electnon micnoscopic immunocyto chewistny of TSH-like cells occuning in the pans tuberalis of the adult malenat pitaitany" Arch.Histol,Cytal,. 55. 151-157 (1992)
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[Publications] Nagata et al,: "Devolopment of pnolactin and gnowth hsomone production in the fetal not pituitany:an imomunochemieal study" Dw,Growth.Diffen,. 34. 473-478 (1992)
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[Publications] Inoue et al,: "Establishment of a folliculo-stellate-like coll line from a murine thynotnopic pituitany tumor" Euolocrinology. 131. 3110-3115 (1992)
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[Publications] 井上 金治: "ラット:GH_3" 生体の科学. 43. 422- (1992)
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[Publications] 井上 金治: "ラット:MATIS" 生体の科学. 43. 423- (1992)
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[Publications] 井上 金治: "マウス:TATIM-87" 生体の科学. 43. 483- (1992)