1992 Fiscal Year Annual Research Report
光受容細胞から内分泌細胞への変換過程におけるメラトニン合成系の分子生物学的研究
Project/Area Number |
04670007
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐藤 哲二 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (10162447)
|
Keywords | 松果体細胞 / 光受容細胞 / 内分泌細胞 / 網膜 / 光受容関連タンパク / 神経特異エノラーゼ / メラトニン合成 / ヒドロキシインドールO-メチルトランスフェラーゼ |
Research Abstract |
松果体細胞の光受容構造がどのように変化するかを明らかにするために、網膜杆体細胞のいくつかの光受容関連タンパクに対する抗体を用いて、ニワトリの松果体および網膜の孵化後発達を検索した。松果体では、ロドプシン、α-トランスデュシン免疫陽性細胞は孵化後発達の過程で減弱した。S-プロテイン免疫陽性細胞は全ての段階で認められなかった。これに対して、網膜では、ロドプシン、α-トランスデュシン、S-プロティン陽性視細胞は発達過程で増強した。ロドプシン陽性松果体細胞は孵化後、著しい形態学的変化を示し、変性光受容細胞から哺乳類松果体細胞に類似した多極性細胞に至る種々の段階の移行型細胞が多数観察された。この過程で、松果体細胞は徐々に松果体腔との接触を失った。 次に、神経内分泌細胞などにその存在が証明されている神経特異エノラーゼ(NSE)に対する抗体を用いて、同様の解析を行った。松果体細胞のNSE反応は、2日齢で、松果体嚢遠位側に少数みられたが、その後急速に増加し、分布域も近位側にひろがった。松果体細胞の核上部は強いNSE反応を示し、長い基底突起をしばしば間質内に伸ばしていた。成鳥では、陽性松果体細胞は更に増加し、松果体柄にも多数の陽性細胞が存在するが、その分布密度は松果体遠位側から近位側に向かうに従い減少した。NSE陽性松果体細胞の孵化後発達ならびにその分布様式は、光受容関連タンパク陽性松果体細胞のそれと対照的であった。更に、メラトニン合成に特異的な酵素であるヒドロキシインドール・O-メチルトランスフェラーゼ(HIOMT)について検討した。孵化後発達の過程で、α-トランスデュシン反応は減弱するのに対し、HIOMT、NSE反応は共に増強したが、HIOMT陽性細胞はNSE陽性細胞より著しく多かった。このことは、メラトニン合成細胞のなかに、より光受容性である細胞とより内分泌性である細胞とが存在することを示している。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 佐藤 哲二: "光受容関連タンパクの発現からみたニワトリの松果体と網膜" 解剖学雑誌. 67. 274- (1992)
-
[Publications] 金子 道成,佐藤 哲二,ウィチャイ・エカタクシン: "ニワトリ松果体細胞の孵化後発達とneuron-specific enolase" 解剖学雑誌. 67. 274- (1992)
-
[Publications] Fujieda H,Sato T,Wake K: "Neuron-specific enolase in the developing rat pineal organ:An immunocytochemical study" 解剖学雑誌. 67. 492- (1992)
-
[Publications] Sato T,Kaneko M,Fujieda H,Wake K: "Zonal heterogeneity in the bovine pineal gland:Analysis by using immunocytochemistry and in situ hybridization" 解剖学雑誌. 67. 492- (1992)
-
[Publications] Kaneko M,Sato T,Wake K: "Immunocytochemical localization of hydroxyindole O-methyltransferase (HIOMT) in the chick pineal organ during post-hatching development" 解剖学雑誌. 67. 565- (1992)
-
[Publications] Fujieda H,Sato T,Wake K,Takaoka M,Morimoto S: "Tissue kallikrein in the rat pineal gland-An immunocytochemical study" Journal of Pineal Research.
-
[Publications] Sato T & Wake K: "Atlas of Endocrine Organs-Vertebrates and Invertebrates" Springer-Verlag, 307 (1992)