1992 Fiscal Year Annual Research Report
小腸上皮における脂肪酸結合蛋白ファミリーの発現と局在の研究
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04670009
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
井関 尚一 金沢大学, 医学部, 教授 (50167251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 修 金沢大学, 医学部, 助手 (60193025)
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Keywords | 小腸 / 脂肪酸結合蛋白質 / 免疫組織化学 / In Situハイブリダイゼーション / ラット |
Research Abstract |
小腸上皮由来の脂肪酸結合蛋白(FABP)ファミリーの発現、局在と機能を追求するため、本年度は次のような実験を行なっていくつかの知見を得た。 1)in vivoでの研究:新潟大学小野輝夫教授らがラット小腸から抽出したFABPファミリーのひとつであるラット小腸15KDa蛋白質(I-15P)について、特異抗体を用いた免疫組織化学によりラット全身を検索した。胃から近位結腸にいたる消化管の表層上皮に免疫活性がみとめられ、特に回腸に強かった。反応は絨毛の吸収上皮細胞に局在し、陰窩部には存在しなかった。電顕的には反応は細胞質基質および核基質に局在し、細胞内小器官には存在しなかった。消化管以外に、卵巣および副腎にも免疫活性がみとめられた。反応は卵巣では黄体細胞、副腎では皮質束状帯上部の細胞に弱く、また皮質-髄質境界から髄質に散在する一部のステロイド性細胞に強く存在し、いずれも細胞質および核の基質に局在した。さらにI-15PのmRNAの一部に相補的なオリゴヌクレオチドを合成し、これをプローブとしてin situハイブリダイゼーション法によりI-15Pの遺伝子発現部位を検索したところ、免疫陽性細胞に強いmRNAシグナルが検出され、I-15Pの産生が確認された。これらの結果は、I-15Pが回腸上皮で胆汁酸吸収に関与する可能性、およべ一部のステロイド性内分泌細胞でホルモン代謝に関与する可能性を示唆した。 2)In vitroでの研究:ラット小腸由来培養細胞であるIEC-6およびIEC-18を培養して肝型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)遺伝子の発現をノーザンブロット法で調べたが、発現は検出されなかった。培地に長鎖脂肪酸であるオレイン酸およびアラキドン酸を加えてL-FABPの誘導の有無を調べたが、結果は陰性であった。今後小腸の初代培養を用いて同様な検索をする必要がある。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Amano,O.,Kanda,T.,Ono,T.,Iseki,S.: "Immunocytochemical localization of rat 15 kDa protein,a member of cytoplasmic fatty acid binding proteins" The Anatomical Record. 234. 215-222 (1992)
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[Publications] Fujii,H.,Nomura,M.,Kanda,T.,Asano,O.,Iseki,S.,Hatakeyama,K.,Ono,T.: "Cloning of a cDNA encoding rat intestinal 15 kDa protein and its tissue distribution" Biochemical and Biophysical Research Communication.
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[Publications] Iseki,S.,Kanda,T.,Fujii,H.,Ono,T.: "Expression and localization of intestinal 15 kDa protein in the rat" Molecular and Cellular Biochemistry.