1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04670013
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤本 和 京都大学, 医学部, 講師 (50159125)
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Keywords | ギャップ結合 / コネクシン / カドヘリン / 肝細胞 / 免疫電顕 / 接着結合 / 細胞増殖 / 肝再生 |
Research Abstract |
肝の生後発達と再生時におけるギャップ結合の動態をギャップ結合蛋白質コネクシンを指標として免疫組織細胞化学的に検索するとともに、細胞間接着分子カドヘリンと細胞分裂S期の細胞の指標であるproliferating cell nuclear antigen(PCNA)の免疫局在も合わせて検討し、以下の所見を得た。 -肝の生後発達に伴うギャップ結合とカドヘリンの動態について- 出生直後の肝細胞ではコネクシンの免疫反応は弱いが、生後2〜6日頃、細胞間の免疫反応の増加とともに細胞内に多数の点状の反応が観察されるようになった。しかし、細胞内の反応は以後漸次減少した。生後10日目頃、肝小葉中心帯と辺縁帯の肝細胞では、成獣と同程度の免疫反応が観察されたが、生後20日目頃までは、肝小葉中間帯の肝細胞間の免疫反応は弱かった。生後40日頃、全ての肝細胞に均一なコネクシンの免疫標識が観察された。また、E-カドヘリンの免疫反応は、生後6日目頃まで全ての肝細胞で観察されたが、生後10日目以後になると、成獣と同様に小葉辺縁部、特に門脈周辺の肝細胞のみにE-カドヘリンの発現が見られた。免疫電子顕微鏡観察から、生後2〜6日頃の肝細胞では、コネクシンはギャップ結合の細胞形質膜、ギャップ結合部以外の形質膜と細胞内の小胞構造に局在していることが確認された。コネクシンとカドヘリンの二重免疫標識試料の観察から、この時期の肝細胞では、両蛋白質が一部の形質膜に共存していることが分かった。 -肝再生過程におけるギャップ結合とカドヘリンの動態について- 肝左葉切除後1日目の肝において、E-カドヘリンの免疫反応は門脈周辺の肝細胞のみならず肝小葉中間帯を含む広範な領域の肝細胞に観察された。2日目以降、E-カドヘリンの免疫反応陽性細胞の数は減少し、切除後6日目では、正常肝と同様に門脈周辺の肝細胞のみが陽性反応を示した。コネクシンの免疫反応は切除後2日目に激減するが、3〜4日目には正常時のレベルにまで回復した。両蛋白質の二重免疫染色から、カドヘリン免疫反応陽性細胞はコネクシンの免疫反応陽性を呈し、また興味深いことに、PCNA陽性細胞はカドヘリンとコネクシンの免疫反応陰性であることが分かった。 以上の観察から、肝の生後発達あるいは再生時における細胞増殖にギャップ結合が密接に関係していること、ギャップ結合の形成あるいは機能維持にカドヘリンが関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 藤本 和: "マウス新生仔肝と部分肝切除後の再生肝における細胞間接着分子カドヘリンの動態について" 解剖学雑誌. 67. 467 (1992)
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[Publications] 藤本 和: "ギャップ結合構成蛋白質コネクシンの細胞化学" 細胞. 24. 399-406 (1992)
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[Publications] Nakano,T.et al.: "Cytochemistry of protein kinase C and Na-K-ATPase in rabbit ciliary processes treated with phorbol ester" Investigative Ophthalmology and Visual Science. 33. 3455-3462 (1992)
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[Publications] 藤本 和: "腎尿細管上皮細胞におけるコネクシンの発現について" ギャップ結合研究会抄録集. 5. 7 (1993)
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[Publications] 藤本 和: "ギャップ結合形成時における細胞間接着分子カドヘリンの役割について" 解剖学雑誌. 68. 480 (1993)
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[Publications] Fujimoto,K.: "Immunocytochemistry of connexins and cadherins." Anatomical Record. Sup.1. 52 (1993)
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[Publications] Fujimoto,K.: "Intercellular junctions.In“Electron Microscopic Cytochemistry and Immunocytochemistry in Biomedicine"" CRC Press,Boca Raton,FL.,USA, 12 (1993)