1992 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類の形態形成における上皮成長因子受容体とプロトオンコジーンの役割に関する研究
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04670014
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塩田 浩平 京都大学, 医学部, 教授 (80109529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 誠 京都大学, 医学部, 助手 (30232341)
森 千里 京都大学, 医学部, 助教授 (90174375)
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Keywords | 形態形成 / 哺乳類 / 胎児 / 上皮成長因子受容体 / 免疫組織化学 / 口蓋 / 肝腫瘍 |
Research Abstract |
1.ヒト胚子組織におけるEGF受容体の発現:人工流産によって得られた受精後6〜8週の正常ヒト胚子を4%パラホルムアルデヒドで固定後パラフィン包埋して連続切片を作製し、抗ヒトEGF受容体抗体を用いて免疫組織化学的に検索した。その結果、EGF受容体の発現に組織特異的、発生時期特異的な特徴が認められた。皮膚の周波、消化管及び呼吸器の上皮、脊索、ラトケ嚢上皮、副腎の胎児皮質、性腺の生殖細胞、軟骨組織等に強い陽性反応が見られた。心筋組織においては、6週に強い陽性反応が見られたが、7週終りまでにその反応が弱くなることが観察された。 2.マウス胎児の口蓋形成過程におけるEGF受容体の発現:マウス胎児においては妊娠14日までに口蓋突起が癒合して口蓋が形成されるが、この時期のマウス胎児口蓋について、EGF受容体の局在と経時的変化を免疫組織化学的に調べた。その結果、EGF受容体の発現は口蓋突起先端の上皮に特に強く、周辺の上皮や間葉組織における反応は弱かった。また口蓋突起の後方に比べて、口蓋突起中央部の陽性反応が強かった。口蓋突起の癒合に先立って、突起先端部でEGF受容体の発現が減弱するが、レチノイン酸で処理した胎児の口蓋では、強い陽性反応が異常に長く持続することが観察され、これがレチノイン酸による口蓋裂発生の原因ではないかと推察された。 3.実験的肝腫瘍発生過程におけるEGF受容体の発現:雄ラットに3'-methyl-4-dimethylaminobenzeneを投与して肝腫瘍を誘発し、肝組織におけるEGF受容体の発現を免疫組織化学的に調べた。EGF受容体は腫瘍組織そのものよりも、腫瘍周囲の非腫瘍性組織に強く発現しており、EGF受容体の発現が、肝腫瘍発生に伴う肝組織の再生と密接に関連していることが示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Shiota,K.et al.: "In vitro development of the fetal mouse palate and a study of the mechanisms of normal and abnormal palatogenesis" Anatomical Record. Suppl.1. 105- (1993)
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[Publications] Minote,H.et al.: "Immunohistochemical study on epidermal growth factor (EGF) receptor during carcinogenesis in the rat liver" Arch.Jpn.Chirurg.61. 249-258 (1992)
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[Publications] Higashide,S.et al.: "Expression of epidermal growth factor receptor after partial pancreatectomy in adult rats:an immunohistochemical study" Arch.Jpn.Chirurg.61. 311-319 (1992)
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[Publications] Ishibashi,M.et al.: "Effects of retinoic acid on limb morphogenesis in the mouse" Acta Anat.Nippon.67. 541- (1992)
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[Publications] 森 千里 他: "精子形成過程において特異的に発現する遺伝子群について" 病態生理. 11. 650-657 (1992)