1993 Fiscal Year Annual Research Report
正常および線維化肝でのIV型.V型,血管基底膜結合性コラーゲン会合体の比較と臨床応用
Project/Area Number |
04670015
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安達 栄治郎 大阪大学, 医学部, 助教授 (30110430)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 利彦 東京大学, 教養学部, 教授 (60090528)
|
Keywords | 基底膜基底板 / IV型コラーゲン / 肝 / 類洞 / 毛細血管 / 四塩化炭素 / カニクイザル / サンドイッチELISA |
Research Abstract |
今年度は3頭のカニクイサルを用いて四塩化炭素による実験的肝線維症の実験を行った。昨年度の予備実験の結果カニクイサルは四塩化炭素に対する抵抗性が高い事が判っていたので2ケ月毎に10%づつ四塩化炭素濃度を上昇させて投与を続けた。 その結果、投与開始後10ケ月目から(60%四塩化炭素投与中)肝線維症に特徴的な偽小葉の形成を見た。同時期に生検した肝組織を電顕的に検索したところ肝小葉内の血管は類洞型の多数の小穴からできた篩板が消失し、飲み込み陥凹や小胞をもった一般の毛細血管に変化していた。また増勢したコラーゲン細線維に直接接触する肝実質細胞にも基底板が観察された。 4週間毎に採血しCEBを定量したところ、投与開始後2〜3ケ月目にはGOT,GPTなどの肝実質細胞の機能を示す指標と平行して上昇していた。これは四塩化炭素による急性肝障害によるものと考えられる。しかしこの時期には軽度ながら増勢した膠原線維が肝小葉内に観察された。投与開始後10ケ月目にはGOT,GPTに大きな変動がないまま血中EB量が上昇した。電顕観察の結果とあわせてこの時期の上昇は肝類洞壁の基底板形成を反映したものと考えられた。 健常人、肝炎、肝硬変患者の血中CEB量測定結果では、肝炎の場合では健常人のそれの2〜3倍肝硬変では10倍にも達した。これらの結果から血中EB量を測定することによって肝類洞壁内の基底板の形成を推定することが出来、引き続いて起こる膠原線維の沈着を予見しうる事が判った。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] 安達栄治郎,林利彦: "血管基底膜結合性コラーゲンの組織内分布と肝線維化過程における動態" 解剖学雑誌. 68. 676-676 (1993)
-
[Publications] 安達栄治郎,林利彦: "四塩化炭素投与による肝臓内基底膜コラーゲンの変化" 解剖学雑誌. (印刷中). (1994)
-
[Publications] Adachi E.& T.Hayashi: "Anchoring of epithelia to underlying connective tissue" J.Electron Microscopy. (in press). (1994)
-
[Publications] Romanic A.et al.: "Self-assembly of collagen I from a proband homozygous……" J.Biological Chemistry. (in press). (1994)
-
[Publications] Nakata K.et al.: "Transgenic mice expressing partially deleted al(IX) collagen……" Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 90. 2870-2874 (1993)
-
[Publications] Nishiyama T.et al.: "Dissociation of actin microfilament organization from……" Matrix. 13. 447-455 (1993)
-
[Publications] 安達栄治郎: "コラーゲン細線維の微細構造月刊細胞" ニューサイエンス社, 5 (1994)
-
[Publications] Adachi E.& I.Hopkinson: "Procedures in Electron Microscopy" John Wiley & Sons Ltd, 2 (1992)