1992 Fiscal Year Annual Research Report
リーラー大脳皮質の投射ニューロンの形態学的特徴と電気生理学的特性との相関解析
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04670031
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井上 芳郎 北海道大学, 医学部, 教授 (20051584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 量一 北海道大学, 医学部, 助手 (10223091)
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Keywords | リーラーマウス / 投射ニューロン / 大脳皮質運動領 / 可塑性 / 皮質脊髄路ニューロン / 皮質視床ニューロン / 皮質交連ニューロン / 樹状突起 |
Research Abstract |
大脳皮質投射ニューロンに内在する情報伝達系の可塑性を検討する上で、大脳皮質脳内の層構造に異常があるリーラーマウスを用いて形態学的に、また細胞内電極法によって生理学的に分析することを計画した。本年度は5-6週令のリーラーマウスとその同腹仔の大脳皮質投射ニューロン(皮質視床ニューロン、皮質脊髄路ニューロン、皮質交連線維ニューロン)をbiocytinにて逆行性に標識し、その細胞の形態情報ををデジタイザーとコンピューターを用いて数値化し、角度、面積、径などをパラメーターに計測した。正常マウスの資料と比較することにより各投射ニューロンの形態学的な特徴が、本来ニューロンが持つ内在的因子によるのか、皮質層内の位置に依存するか、入力線維や出力線維の投射先に依存するのかを解析した。 その結果、最浅層を除いて、リーラーのニューロンの細胞体の大きさおよび、樹状突起の太さは正常のニューロンと同様に投射先に応じた分布を示した。しかし、樹状突起の広がる方向については、各投射ニューロンとも正常と異なっていた。正常と比較した変異度は皮質脊髄路ニューロンがもっとも正常に近く、次に皮質視床ニューロンで、皮質交連線維ニューロンが最も変異度が大きかった。また、大脳皮質の放線方向を基準として比較した時、各投射ニューロンとも皮質内深度によって変異の程度が異なっていた。即ち、皮質浅層ではその方向性の変異が最大であり、深中層では変異の程度が比較的少なかった。 以上の事から、大脳皮質ニューロンは細胞体の大きさ、樹状突起の太さは投射先に依存する因子であり、このことはリーラーのニューロンでも表現されている。一方樹状突起の広がりは正常とは異なっており、この変異は皮質内の位置(おそらくは入力因子)と投射先の相違に依存することが示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Watanabe,M.: "Developmental changes in distribution of NMDA receptor channel subunit mRNAs" Neuroreport. 3. 1138-1140 (1992)
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[Publications] Inoue,K.: "Postnatal development of the corticotectal projection from the visual cortex of the mouse"" Okajimas Folia Anat.Jpn.68. 319-332 (1992)
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[Publications] Terashima,T.: "Distribution of guanine nucleotide-binding protein in the brain of reeler mutant mouse"" Brain Res.601. 136-142 (1992)
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[Publications] Terashima,T.: "Dendritic arbolization of large pyramidal neurons in the motor cortex of normal and reeler mutant mouse."" Okajimas Folia Anat.Jpn.68. 351-364 (1992)
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[Publications] Inoue,Y.: "Abnormal synaptic architecture in the cerebellar cortex of a new dystonic mutant mouse,Wriggle Mouse Sagami."" Neuroscience Res.(1993)