1993 Fiscal Year Annual Research Report
リーラー大脳皮質の投射ニューロンの形態学的特徴と電気生理学的特性との相関解析
Project/Area Number |
04670031
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井上 芳郎 北海道大学, 医学部, 教授 (20051584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 量一 北海道大学, 医学部, 助手 (10223091)
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Keywords | reeler / mutant / cerebral cortex / pyramidal cell / dendrite |
Research Abstract |
リーラーマウスとその同腹仔について、大脳皮質運動領の投射ニューロンである(1)交連線維系、(2)皮質脊髄路、(3)皮質視床路の3種のニューロン群を研究の対象とした。(1)Biocytinによりニューロンを逆行性に標識し、細胞体の大きさ、樹状突起の方向と径について、デジタイザーとパーソナルコンピューターを用いてより精密に数値的な形態解析を行った。(2)脳のスライス標本によるニューロンの電気生理学的な資料を得るための装置をセットし、ニューロンより細胞内電位変化をとるスライス法の検討を行った。結果:(1)3種の投射ニューロン群は、正常では大脳皮質内で各々特定の層に局在し投射先により細胞体の大きさ、樹状突起の径、樹状突起の伸長方向に互いに異なる特徴的な形態を示していた。(2)リーラーマウスでは3群とも大脳皮質の全層にわたって分布するが、3群のニューロンを皮質内の同一部位(軟膜よりの深さで)にて比較すると、細胞体の大きさおよび樹状突起の径の相対的な大小関係は正常に保たれていた。(3)リーラーマウスの3群の投射ニューロンは皮質内の位置ごとに頂上樹状突起の伸長方向が異なっており、皮質内位置と樹状突起の方向の関係は3群の間で異なった様式をしめした。以上の結果から、リーラーマウスにおいても、正常と同じ様に、投射ニューロンの細胞体の大きさ、頂上樹状突起の基部の径はその投射領域により決定され、頂上樹状突起の方向などの伸展様式は、皮質内に占める位置や入力因子に依存すると解釈された。(4)あらかじめ逆行性に標識したニューロンを同定し、膜電位固定法により内在性電気生理学的性質を測定する方法を検討した。マイクロスライサによる切片の作成法、電極の作成法を検討し、正立顕微鏡上の灌流装置および増幅器のセットが完了した。正常のマウスについてデータの検討を行ったが、リーラーとの比較は今後の問題に残された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 池中一裕: "『神経疾患の動物モデル--ミエリンプロテオリピド蛋白質遺伝子過剰発現によるミエリン形成不全および脱髄マウスの作製--』" 最新医学. 48. 1560-1566 (1993)
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[Publications] Araki K: "“Selective expression of the glutamate receptor channel δ2 subunit in cerebellar Purkinje cells."" Biochemical and Biophysical Research Communication. 197. 1267-1276 (1993)
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[Publications] 井上芳郎: "『錐体路の発生学的研究より』" 脳神経外科速報. 3. 265-269 (1993)
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[Publications] Inoue,Y: "“Abnormal synaptic architecture in the cerebellar cortex of a new dystonic mutant mouse,Wriggle Mouse Sagami."" Neuroscience Res.16. 39-48 (1993)
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[Publications] Watanabe M: "“Distinct distributions of five N-methyl-D-aspartate receptor channel subunit mRNAs in the forebrain."" J.Comp.Neurol.338. 377-390 (1993)
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[Publications] Watanabe M: "“Differential distribution of the NMDA receptor channel subunit mRNAs in the mouse retina."" Brain Research. 634. 328-332 (1994)