1992 Fiscal Year Annual Research Report
ラット脳における蛋白質ホスファターゼとそのmRNAの発現に関する組織学的研究
Project/Area Number |
04670032
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
阿部 寛 東海大学, 医学部, 教授 (40151104)
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Keywords | Protein phosphatase / rat / brain / mRNA / in situ hybridization |
Research Abstract |
蛋白質ホスファターゼ(PP)は蛋白質キナーゼの逆の反応を触媒する酵素であり、キナーゼやCaイオンとともに細胞内の情報伝達の調節に関して重要な役割を演ずるものと考えられる。中枢神経系においては、軸索輸送や神経細胞の可塑性などに密接に関与している。PPには大別して4種知られている(PP1,PP2A,PP2B,PP2C)。中枢神経系におけるPPの発現局在を各々のサブタイプについて形態学的に解明することを目的として本研究を遂行中である。 はじめに、正常成熟ラットにおける各サブタイプのmRNAの発現様式を解析し比較検討した。このうちPP2Cは小脳プルキン工細胞、顆粒細胞、海馬錐細胞、歯状回顆粒細胞において強く発現し、これらの部位で種々のキナーゼも同様に強く発現しているという事実より、活発なリン酸化、脱リン酸化が行われていることが考えられた。また、梨状葉、手綱核、青斑核、動眼神経核、赤核などでも中等度のPP2C・mRNAの発現を認めたが、線条体にける発現は弱く、また白質においては殆ど発現を見なかった。PP2Cのこのような発現をPP2Aα、PP2Aβと比較すると、PP2Cとほぼ同様の発現を示した。しかしPP2Bとの比較では、線条体の発現強度、大脳皮質や嗅球における発現様式において大きく異なっていた。さらに、PP1の発現につき検討を加えている。 胎児脳では上記の種々のサブタイプが早期から発現していることが予想されるので、これらの発現局在についても現在検討中である。
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Research Products
(1 results)