1992 Fiscal Year Annual Research Report
視床下部室旁核に由来する下行性線維と副交感節前細胞との結合様式
Project/Area Number |
04670034
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
細谷 安彦 筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (60100145)
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Keywords | 視床下部室旁核 / 交感神経節前細胞 / 副交感神経節前細胞 / オキシトシン / PHA-L / コレラ毒素B / ラット / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
1)視床下部室旁核の下行性線維と副交感神経節前細胞: 我々は、これまで、交感神経節前細胞を染め出すのに、コレラ毒素Bによる逆行性標識法を用い、満足する結果を得てきた。そこで、本研究でも、細かな樹状突起の広がりを含めて、副交感神経節前細胞を完全に染め出すために、このコレラ毒素B法を適用した。迷走神経背側核および仙髄の副交感神経節前細胞を標識するために、コレラ毒素Bを頸部迷走神経神経幹に、あるいは、下下腹神経叢にある骨盤神経節に注入した。迷走神経背側核では、余りに多量の副交感神経節前細胞が標識され、個々の細胞を区別するのは困難であった。一方、仙髄では、副交感神経節前細胞がL6からS2に出現し、その樹状突起を主に内側に伸ばし、中心管の背側領域で疎な樹状突起の網工を形成していた。コレラ毒素Bを逆行性の標識物質として使えば、副交感神経節前細胞を染め出すことが出来ることが分かった。一方、PHA-Lを室旁核に注入して、その下行性線維を追跡すると、標識線維が迷走神経背側核と上部腰髄に多数見られるものの、問題の仙髄には、ごく僅かの線維が中心管の背側領域に観察されるのみであった。室旁核と仙髄副交感神経節前細胞との形態学的な結合関係を仙髄で解析することは難しいことが判明した。今後は迷走神経背側核に現れる副交感神経節前細胞の数を抑える工夫を試み、この核で室旁核との結合関係を解析することにする。 2)交感神経節前細胞・副交感神経節前細胞とオキシトシン含有線維との結合: 上頸神経節に、あるいは、下下腹神経叢の中にある骨盤神経節にコレラ毒素Bを注入すると、上部頸髄では交感神経節前細胞が、上部腰髄と上部仙髄では交感神経節前細胞と副交感神経節前細胞がそれぞれ標識される。オキシトシンを免疫組織化学で染めると、念珠状の陽性線維が上部頸髄と上部腰髄に多数出現し、コレラ毒素Bで標識された交感神経節前細胞の樹状突起ないし細胞体に絡み付いて終始する像が得られた。仙髄の副交感神経節前細胞が見られる領域ではオキシトシンの陽性線維をほとんど見られず、オキシトシン線維が室旁核由来と仮定すると、1)の結果と一致する。保有するオキシトシン抗体はバソプレシと交叉するので、抗体の信頼性を高める作業に入っているところである。下下腹神経叢の骨盤神経節にコレラ毒素Bを注入すると上部腰髄の交感神経節前細胞が染め出されてくる。ラットでは、この部域の交感神経節前細胞が中心管の背側領域で特徴のある背側交連核を形成する。しかし、これまでに、背側交連核を構成する交感神経節前細胞の形態についての詳しい報告はなされていないので、次年度からの研究課題の一つにしたいと考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hosoya,Y.: "Direct projection from the hypothalanuic paraventricular nucleus to the sympathetic preganglionic neurons of the rat, revealed by a conbination of anterograde and retrograde labeling technigie." Neurosuence Research. Suppl.17. S136- (1992)
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[Publications] Hosoya,Y.: "Oxytocinergic input to sympathetic preganglionic neurons in the rat." Journal of physiology. (1992)