1994 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄上行性投射ニューロンにおける痛覚伝達関連物質とその制御機構に関する研究
Project/Area Number |
04670039
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
野口 光一 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10212127)
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Keywords | 脊髄 / 上行性投射ニューロン / 神経ペプチド / 視床 / サブスタンスP / ガラニン / コレシストキニン / エンケファリン |
Research Abstract |
痛覚伝達系における活性物質の研究の中で、含有量の問題でこれまであまり検索されてこなかった,脊髄上行性投射ニューロンにおける神経ペプチドの詳細な検討が本研究の目的である。本研究の結果、研究代表者らにより、タキキニン類(サブスタンスPなど)が上行性の脊髄中脳路における痛覚刺激により著明な遺伝子発現の増加を示すことが明らかにされた。そこで引き続き侵害受容線維の終末部位として知られている視床各亜核における、上行性投射ニューロンの神経ペプチド陽性線維や終末の分布を検索してきた。サブスタンスP陽性反応は頚髄半切実験により、視床のVPL(ventroposterolateral nucleus)の外側部、PO(posterior complex)の特に内側膝状体の内側部、CL(central lateral nucleus)など特定の核で減少を示した。ガラニンでは視床後角群(PO)において、具体的には内側毛帯の外側部から、より尾側では内側毛帯の背側を内側に向かい、さらに束傍核へかけて明かな左右差を呈していた。エンケファリンとコレシストキニンもガラニンとよく似た分布を示し、切断側で免疫反応の減少が観察された。ダイノルフィンに関しては明かな左右差を生じる部位は視床には存在しなかった。これらの神経ペプチド含有終末や線維の起源に関して、脊髄各層における逆行性トレーサーとの二重染色法により、上行性投射ニューロンにおける神経活性物質の共存関係について検索した。特に中心管周囲のSTTニューロンはGAL、CCK、ENK等を共存し、脊髄後角第I層、第IV〜V層、及びLSN(lateral spinal nucleus)などではSP、DYNなどが共存していた。また、脊髄後索を上行する一次知覚ニューロンにおいて、神経傷害等でそのペプチド分布の劇的な変化が生じる事が明らかとなり、今後の新たな研究テーマとしてその意義の解明と共に注目されるところである。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Noguchi,k.,et al.: "Axotomy induces preprotachykinin gene expression in a subpopulation of dorsal root ganglion neurons." J.Neurosci.Res.37. 596-603 (1994)
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[Publications] Umemoto,S.,et al.: "The expression of neuropeptides and their mRNA in the trigeminal mesencephalic nucleus following…" Mol.Brain Res.23. 93-99 (1994)
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[Publications] Kashiba,H.,et al.: "Neuropeptide Y and galanin are coexpressed in rat large type A sensory neurons after peripheral…" Peptides. 15. 411-416 (1994)
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[Publications] Noguchi,K.,et al.: "Quantirication of axotomy-induced alteration of neuro peptide mRNA in dorsal root ganglion neurons" J.Neurosci.Res.35. 54-66 (1993)
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[Publications] Noguchi,K.,et al.: "Gene regulation in an ascending nociceptive pathway Inflammation-induced increase in preprotachykinin…" J.Neuroscience. 12. 2563-2572 (1992)