1992 Fiscal Year Annual Research Report
神経再生メカニズム解析のための新たな生体内実験システム
Project/Area Number |
04670040
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
遠山 稿二郎 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (10129033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
似鳥 徹 岩手医科大学, 医学部, 講師 (90128934)
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Keywords | 軸索再生 / 脊髄後根神経節 / 移植 / 再生促進因子 / 基底膜 / 生体内評価系 / 共焦点レーザー顕微鏡 / 形態解析 |
Research Abstract |
初年度は、本研究課題で試みる新しい実験系-脊髄後根神経節(DRG)を末梢神経束へ移植する系-の基礎的データを集め、次年度以降に行う生理活性物質の総合的評価実験の条件を確立することが主な目的であった。DRG移植実験では、個体により生着の程度が相当異なることが明らかとなった。これは、手術手技上の要素も考えられるので、熟練によりある程度均一化できると考えられるが、基底膜筒(BLT)移植実験に際しては、DRG移植後十分な時間(2週間以上)をおく必要があろう。 DRG移植後の経過をみると、DRGの中央部に分布する神経節細胞では、核の偏在、粗面小胞体の消失が強く見られたが、DRG辺縁の神経節細胞ではこの様な変化は認められなかった。このことは、一部(特にDRG中央部)の神経細胞は、移植後変性するものもあるが、神経節細胞の多くは生着し、その後のBLT移植実験に有用であり、評価系として応用できるものと考えられた。一方、再生軸索の全体像を把握する方法として共焦点レーザー顕微鏡が有効であることが明らかとなった。すなわち、免疫染色に際し、蛍光標識した二次抗体を使用し、共焦点レーザー顕微鏡で観察すると、数百ミクロンにわたる再生軸索の三次元的形態を、短時間で得ることができた。従来は、免疫染色された再生軸索を通常の光学顕微鏡で観察し、描画装置を用いて、その全体像を記録していたが、これには、長時間を要した。したがって、共焦点レーザー顕微鏡を用いると、多くの再生軸索の形態を短時間で、正確に把握することができるため、軸索形態を統計的に把握できる可能性が出てきた。 また、DiI標識法で知覚神経と同定された再生軸索の形態を観察することができたが、運動性の再生軸索と知覚性の再生軸索とでは、形態的な相違が僅かながら認められた。しかし、十分な例数がないので、次年度以降の継続的な検索が必要である。
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Research Products
(2 results)