1993 Fiscal Year Annual Research Report
神経再生メカニズム解析のための新たな生体内実験システム
Project/Area Number |
04670040
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
遠山 稿二郎 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (10129033)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
似鳥 徹 岩手医科大学, 医学部, 講師 (90128934)
|
Keywords | 軸索再生 / 脊髄後根神経節 / 移植 / 再生促進因子 / 基底膜 / 生体内評価系 / 共焦点レーザー顕微鏡 / 形態解析 |
Research Abstract |
初年度に引き続き、生体内評価系確率のための基礎的条件の検討を行なった。(1)移植DRGの選定:ラット坐骨神経にDilを投与し、L2-L6のDRGの取り込みを解析した。Dilは、L4,L5DRGの60-70%の神経細胞に認められた。この結果より、本研究では、L4,L5のDRGを移植することとした。(2)DRGにおける外套細胞(sate llite cells)の役割について:前述の実験中、末梢から投与されたDilが3日以内にDRGの外套細胞に集積する現象が見られた。さらに、HRPを用いた実験より、DRG細胞の辺縁部と、これに接した外套細胞内にHRP陽性の小胞が見られることが電顕的に観察された。このとき、投与部位とDRGの間で神経束を切断すると外套細胞によるDilの取り込みは見られなくなった。また、血行性の可能性も否定された。従って、これらの結果は、DRG細胞由来の物質を外套細胞が取り込み処理する可能性を示すものであると考えられた(第17回神経科学会発表)。このような観点でのDRGにおける外套細胞の役割はこれまで殆ど指摘されていない。(3)前根を切断したラットを用い、移植された基底膜筒(BLT)内の再生軸索について運動神経と知覚神経の形態的相違について検討した。前根を切断すると、直径8mum以上の太い軸索が認められなくなったことより、これらの太い再生軸索は運動性の神経由来である可能性が示された。今後、再生軸索の形態解析に当り、この結果を十分考慮する必要があろう。 本年度は、上述した基礎的事項の検討に時間をさいたため、生理活性物質の生体内評価実験については十分なデータを得ることができなかった。残された課題は最終年度に実施したい。
|
-
[Publications] 遠山稿二郎: "末梢神経再生研究の現状と獣医臨床応用の可能性" 日本獣医雑誌. 46. 627-632 (1993)
-
[Publications] 遠山稿二郎、似鳥徹: "末梢神経の変性と再生" 細胞. 26. 19-23 (1994)
-
[Publications] Y.Osawa,T.Nitatori,et al: "Lysosomal cysteine and aspartio proteinases,acid phosphatase,and an endogenous cysteine proteinase inhibitor,cystatin-b in rat osteoclasts." J.Histochem.Cytochem.41. 1075-1083 (1993)
-
[Publications] 遠山稿二郎: "紀伊国屋書店" 「末梢神経疾患-update」(分担執筆)「末梢神経の再生-形態学の立場から」. ((印刷中))
-
[Publications] 遠山稿二郎ら: "西村書店" 「神経の再生と機能再建」(分担執筆)「神経の同種移植」. ((印刷中))