1994 Fiscal Year Annual Research Report
神経再生メカニズム解析のための新たな生体内実験システム
Project/Area Number |
04670040
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
遠山 稿二郎 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (10129033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
似鳥 徹 岩手医科大学, 医学部, 講師 (90128934)
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Keywords | 軸索再生 / 脊髄前角 / ミクログリア / 指標蛋白 / 再生促進因子 / 生体内評価系 / 共焦点レーザー顕微鏡 / 三次元的形態解析 |
Research Abstract |
最終年度である本年度は、末梢性に障害された神経が、軸索を再生している場合、当該神経を取り巻く、中枢性および末梢性環境の中から生体内評価の対象とすべき因子を選定することを、主な目的として研究を進めた。 1)生理活性物質と再生軸索の形態 CNTF・BDNFを含んだ凍結神経移植片内に再生する軸索の伸長速度および分岐頻度は、対象群より高い傾向を認めた。このように、この評価系を用いることにより、再生軸索に関する多角的な形態解析が可能となった。 2)軸索再生中の神経細胞体を取り巻く微小環境の解析 ラット坐骨神経を切断すると、四日後から術側のGFAP陽性部位が著しく増加した。これは、PIによる検索から、術側における個々のアストログリアの膨化によるものであることが明かとなった。この変化は、術側の脊髄全体に認められた。これに対し、同条件下での抗サイモシン抗体陽性細胞は、術側の脊髄後角浅層および脊髄前角背側核群の外側に限局して認められた。脊髄前角では、免疫陽性細胞は、モトニューロンを取り囲むように出現した。この細胞群は、ミクログリアの指標として知られる、Criffonia lectin,OX-42陽性であり、反応性ミクログリアと考えられた。しかし、これらのサイモシン陽性細胞は、良く発達した突起を豊富に持っており、貧食能のあるアメボイドミクログリアの形態とは異なる。この事実は、軸索再生中のモトニューロン周囲に出現する反応性のミクログリアが崩壊産物貧触食以外の新たな機能を果たしていることを示唆する。また、本研究で使用した抗サイモシン抗体が、ミクログリア解析のための、新たな、安定した、マーカーであることが明らかとなった。このように、神経再生の評価に当たっては、神経細胞の解析に加え、各種マーカーを用いた、グリア成分の動態解析が必要である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Sato,N.,Hotta,K.,Waguri,S.Nitatori,T.,Tohyama,K.et al: "Neuronal differentiation of PC12 cells as a result of prevention of cell death by bcl-2." J.Neurobiology. 25. 1227-1234 (1994)
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[Publications] Nitatori,T.,Sato,N.,Waguri,S.,et al.: "Delayed neuronal death in the CA1 pyramidal cell layer of the gerbil hippocampus following transient ischemia is apoptosis." J.Neuroscience. 15(in press). (1995)
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[Publications] 遠山 稿二郎: "「末梢神経疾患-update」(分担執筆)「末梢神経の再生-形態学の立場から」" 紀伊国屋書店(印刷中),
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[Publications] 遠山 稿二郎 ら: "「神経の再生と機能再建」(分担執筆)「神経の同種移植」" 西村書店(印刷中),