1992 Fiscal Year Annual Research Report
生体情報伝達調節の長期的(可塑的)過程に関与する環状GMPの役割の細胞内分子機構
Project/Area Number |
04670054
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
小林 春雄 東京医科大学, 医学部, 教授 (20074502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 進 山口大学, 教養部, 教授 (90022665)
持田 澄子 東京医科大学, 医学部, 講師 (30096341)
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Keywords | 交感神経節 / 培養ニューロン / シナプス伝達 / 伝達物質放出 / ムスカリン性受容体 / 蛋白燐酸化 / Cキナーゼ / Gキナーゼ |
Research Abstract |
神経生化学的研究: 哺乳動物上頸交感神経節において,ムスカリン性受容体刺激により数種の内在性基質蛋白の燐酸化が見られるが,そのうち最も顕著なものは分子量87K・等電点4.5の蛋白であった。この蛋白の燐酸化は,他にホルボールエステル,環状GMPの作用によっても起こる事が確認された。ウシ脳から抽出された特異的な神経蛋白であるMARCKSの抗体と反応する事から,この蛋白はMARCKSと同一であり,交感神経節でMARCKSの存在が初めて証明された。このMARCKS蛋白は細胞内骨格関連蛋白と考えられており,その杙能は細胞外からの情報到達によって起こる様々の細胞応答(物質分泌・イオンチャネル制御など)を仲介するものと考えられている。これらの細胞応答発現に際して,CキナーゼやGキナーゼによるMARCKS蛋白の燐酸化が関与する可能性が高まり,この過程の分子レベルでの追求に道が拓かれた。 電気生理業的研究: 交感神経節細胞を単離・一次培養して,培養皿中でシナプスを新たに形成させる事に成功した。ガラス吸引電極により神経節細胞からシナプス応答を電気的に記録し,また電極中に填めた生体活性物質(抗体など)を細胞内に注入する微細技術による研究も進行しつつある。これにより,様々な細胞内骨格関連蛋白が伝達物質放出に関与している可能性が示された。細胞外から来る様々の生体情報が,受容体→細胞内骨格を介してシナプス活動を調節する杙序の解明を今後の目標としている。
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[Publications] KOBAYASHI, H. MOCHIDA, S. & TAKAHASHI, S.Y.: "Intracellular transduction mechanisms for'the slow synaptic events." Canadian J. Physiol. Pharmacol.70. (1992)
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[Publications] KURAZONO, H. MOCHIDA, S. et al.: "Minimal essential domains specifying toxicity of the light chain of tetanus toxin and botulinum neurotoxin type A." J. Biol. Chem.267. 14721-14729 (1992)
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[Publications] TAKAHASHI, S. et al.: "cGMP-dependent protein kinase from the silkmoth, Bombyx mori: further evidence for the involvement of kinase in the phosphorylation." Comp. Biochem. Physiol. (Part B). 103. 71-79 (1992)