1993 Fiscal Year Annual Research Report
生体情報伝達の長期的(可塑的)過程に関与する環状GMPの役割の細胞内分子材構
Project/Area Number |
04670054
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
小林 春雄 東京医科大学, 医学部, 教授 (20074502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 進 山口大学, 教養部, 教授 (90022665)
持田 澄子 東京医科大学, 医学部, 講師 (30096341)
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Keywords | 交感神経節 / シナプス伝達 / 伝達物質 / ムスカリン性作用 / 蛋白燐酸化 / MARCKS / Cキナーゼ / Gキナーゼ |
Research Abstract |
ウサギ交感神経節(SCG)中には、ムスカリン性刺激により特異的に燐酸化を受ける蛋白質(等電点4.2-4.6)が存在する。本年度はこれが近年脳で注目されているMARCKS蛋白と同一である事を、MARCKSのモノクローナル抗体を用いて同定した。MARCKSは蛋白キナーゼC(PKC)の特異的な細胞内基質として知られている。実際にSCGでも、Phorbol dibutyrateなどPKCの活性化剤によってこの蛋白の燐酸化が促進される。ところがこの蛋白はcGMP,IBMXなどによっても燐酸化され、フォトアフィニテイ・ラベル法によりcGMPに高い親和性を持つ蛋白(cGMP依存性蛋白キナーゼ,GK)の存在も別に証明された事から、SCG中にGKを介するMARCKSの燐酸化経路が存在する事が強く示唆され、これがPKCを介する経路と協調的に働いて、ムスカリン性応答を形成している可能性が示された。さらにMARCKSの被燐酸化ドメイン中のsite1-3のペプチドを合成し、両キナーゼに対する基質特異性を調べた。その結果、site-2はPKCに特異的であり、site-1はGKにもCaMキナーゼ-IIにも同程度の特異性を示した。このようにMARCKSはPKCと他の蛋白キナーゼの協調的な作用(クロストーク)の接点であり、この性質によりムスカリン性応答の根幹を形成している可能性を提示した。今後年度には、MARCKSの抗体を電気生理学的実験に活用して、ムスカリン性応答への関与を直接的に調べる予定である。
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[Publications] 小林春雄・持田澄子: "自律神経連続発火の神経節レベルでの調節" ブレイン・メディカル. 5. 231-236 (1993)
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[Publications] Mochida,S.et al.: "Analysis of the mechanism for ACh release at the synapse formed between rat sympathetic neurons in culture." Microscopy Research & Technique22GD02:(印刷中). (1994)
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[Publications] 小林春雄 他: "神経情報生物学入門(第2版)" KKオーム社, 243 (1993)