1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04670065
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山本 三幸 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (80143147)
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Keywords | 神経発生 / 神経突起伸展 / 血管内皮細胞 / ビトロネクチン / ヘパラン硫酸プロテオグリカン / 細胞接着因子 |
Research Abstract |
神経系の発生過程において、種々の細胞間相互作用が正常な発達のためには必要である。特に末梢神経系においては非神経系組織との関わりが、軸索の伸長方向に大きな影響を与えるものと思われる。中でも血管系は、神経束にそって伸びる場合が多く神経軸索と何らかの相互作用をもつと考えられる。本研究では、この血管-神経管、特に血管内皮細胞と末梢神経軸索との相互作用を細胞接着因子の観点から、ラット脊髄神経節細胞を用いin vitroの培養系において調べた。 既知細胞接着分子の幾つかは血管内皮細胞上に発現しており、また神経突起の伸展を促すことも知られている。本研究の目的は血管内皮細胞上に発現する既知叉は未知の接着因子を更に詳しく解明し、これらの因子がそれぞれ、定量的にどの程度、脊髄神経節細胞の突起伸展に寄与するかを調べることであった。前年度はvitronectinがこの作用を行なうことを報告したが、今年度は特に、血管内皮細胞表面のプロテオグリカンについて研究を行なった。このために、プロテオグリカンを認識し、血管内皮上での神経突起伸展を抑制するモノクローナル抗体EC1の抗原分子をウェスタンブロット法により、400kD以上の分子量をもつプロテオグリカンであると同定した。EC1抗原の糖鎖の同定にはヘパリチナーゼ、コンドロイチナーゼ等の酵素処理を行ない、ヘパリチナーゼ処理により突起伸展が抑えられることから、抗原はヘパラン硫酸をもつプロテオグリカンであることを同定した。現在この分子のコアプロテインのアミノ酸シークエンスを解析中である。
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[Publications] Kyoko Isahara 他: "Vascular Endothelial Cell Proteoglycan Promotes Neurite Outgrowth of Dorsal Root Ganglion Cells." Neuroscience Research. Suppl.18. S114 (1993)
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[Publications] 井佐原京子 他: "血管内皮細胞に発現する脊髄神経節細胞突起伸展を促す物質" 細胞科学研究財団助成研究報告集. 4. 40-49 (1993)
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[Publications] Leclerc Nicole 他: "Compartmentation in mammalian Cerebellum:zebrin II and P-path antibodies define three classes of sagittally organized bands of Purkinje Cells." Proceedings of National Academy of Science(USA). 89. 5006-5010 (1992)