1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04670072
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 伸郎 京都大学, 医学部, 助手 (10152729)
|
Keywords | シナプス可塑性 / LTP / LTD / カルシウム / 大脳皮質 |
Research Abstract |
倒立顕微鏡に記録漕を組み込み、これを記録装置として使用し始めた。当初は、大脳皮質視覚野におけるシナプス可塑性に関する基本的現象の知見を得るため、大脳皮質のグルタミン酸伝達系の可塑性の実験に集中した。その結果、大脳皮質視覚野スライスのシナプス伝達長期抑圧(LTD)では、NMDA受容体は不要であり、むしろ代謝型グルタミン酸受容体-G蛋白-IP3-細胞内カルシウムの系に依存していることを示し、また同時にLTPにはG蛋白は必ずしも要しないことを見いだした。LTDのG蛋白依存性は、GDPベータSまたはヘパリンの細胞内注入によるLTDの阻止を見て、確かめている。このとき、LTDは阻止されなかった。代謝型グルタミン酸受容体には数種の亜型がある。そのなかでキスカル酸によく応答して、tACPDへの反応が鈍く、イノシトール代謝-細胞内カルシウムと強く連結した亜型が、シナプス伝達長期抑圧(LTD)に重要であることが解った。この結果は、同じ細胞内カルシウム上昇といえども、G蛋白を介するかイオンチャネルを介するかで帰結の異なること、を示す。つまり、シナプス伝達に関わる情報が細胞内カルシウム情報系へ表現を変換される時、その情報変換にG蛋白が介在している場合とイオンチャンネルが介在している場合とでは、カルシウム上昇のパターンが違う可能性を示唆する。その違いのうち、まず量的側面を取り扱う為、光感受性カルシウムキレーターを細胞内に充填する実験を始めた。このキレーターの細胞内充填後に紫外線を照射すると、キレートされていたカルシウムが細胞内へ放出される。細胞内記録が安定した後に蛍光顕微鏡の光源より紫外線を照射して、その前後におけるシナプス伝達効率の変化を調べ始めた。これは現在も進行中である。これまでのところ、光量が充分に与えられているとは言えず、試行錯誤を繰り返している。
|
-
[Publications] Nobuo Kato: "Synaptic NMDA receptors in the neonatal rat visual cortex are less sensitive to MK-801 than in adult" Brain Res.
-
[Publications] Nobuo Kato: "Dependence of long-term depression on postsynaptic metabotropic glutamate receptors in visual cortex" Proc.natl.Acad.Sci.USA.