1993 Fiscal Year Annual Research Report
心筋細胞のカルシウムイオンチャネル調節機構における蛋白キナーゼCの役割
Project/Area Number |
04670105
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
菅野 盛夫 北海道大学, 医学部, 教授 (00109422)
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Keywords | L型Ca^<2+>チャネル / 蛋白キナーゼC / ウサギ心筋細胞 / パッチクランプ法 / TPA / エンドセリン |
Research Abstract |
前年度の研究によって、cell-attached modeによる単一カルシウムチャネル活動の記録・解析が心筋細胞L-型カルシウムチャネル機能を修飾する薬物作用の解析に十分役立つことが明らかになったので、以下の検討をおこなった。すなわち、蛋白キナーゼC(PKC)を直接活性化させる12-0-tetradecanoylphorbol-13-acetate(TPA)および受容体機構を介してPKCを活性化させるendothelin-1(ET-1)の心筋細胞L-型カルシウムチャネルへの影響を、酵素法で単離したウサギ心室筋細胞を用いて検討した。 モルモット心室筋細胞で遅延整流性外向きK^+電流を活性化させるのに十分な濃度である10nMのTPAを細胞外に作用させたが、カルシウムチャネルの開口確率、開口時間および無開口掃引の割合に全く影響を与えず、TPAによるPKC活性化は心筋細胞L-型カルシウムチャネルの開口の調節に役割を果たしていないと結論された。さらに、モルモット心房筋細胞においてphosphatidylinositol-4,5-bisphosphateの水解を亢進し、PKC活性化を惹起するET-1(20nM)の作用を、TPAの場合と同様にcell-attached modeでのパッチクランプ法で検討したが、得られた成績は直接的にPKCを活性化させるTPAと同じであった。 しかし、モルモット心房筋標本において、PKC阻害薬であるH-7およびstaurosporineの前処置はET-1による遅延性に発現してくる収縮力の増強を抑制し、また、この陽性変力相がnifedipineによって抑制される事実が得られた。すなわち、心筋細胞のPKCの活性化は、即時的にL-型カルシウムチャネルの機能調節には関与しないが、遅延性に影響を与えるものと推測され、新たな研究課題へと発展することが考えられる。
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