Research Abstract |
α_1アドレナリン受容体に複数のサブタイプが存在することが明らかになってきた。しかし,その分類法は統一されておらず,現在提唱されている主な分類法は,α_<1H>,α_<1L>,α_<1N>分類法とα_<1A>,α_<1B>分類法の2つである。本研究では,この2つの異なった分類法を統一することを試みた。 1.結合実験:^3H-przosinを用いて結合実験をしたところ,ラット輸精管では,^3H-prazosinに異なった親和性を示す2つのα_1受容体サブタイプが存在することが明らかとなった。このうち,prazosinに高親和性を示す部位はα_<1H>,α_<1L>,α_<1N>分類法ではα_<1H>に相定し,α_<1A>,α_<1B>分類法ではα_<1A>に相当した。次にラット肝臓を用いて同様の実験をしたところ,prazosin高親和性部位はα_<1B>に相当した。従って,ラット輸精管で見つかったprazosin低親和性部位は,α_<1A>,α_<1B>分類法には当てはまらないこと,α_<1H>,α_<1L>,α_<1N>分類法でのα_<1L>サブタイプに相当することが示唆された。 2.収縮実験:ラット輸精管のnoradrenaline収縮はprazosinにより競合的に抑制された。その親和性はpA_2=8.0と低く,上記結合実験で得られたα_<1L>サブタイプを介する収縮であることが明らかとなった。また,ラット,イヌ,ウサギの摘出血管を用いてnoradrenaline収縮に関与するα_1受容体を同定したところ,α_<1B>,α_<1N>またはα_<1L>のみで収縮する血管と,そのうちの2つのサブタイプを介して収縮する血管のあることが明らかとなった。 3.まとめ:上記両実験より,α_<1A>,α_<1B>サブタイプは,α_<1H>,α_<1L>,α_<1N>分類法ではα_<1H>に属すること,従って,今までのα_1受容体分類法を統一して考えると,α_1受容体には少なくとも4つ(α_<1A>,α_<1B>,α_<1L>,α_<1N>)のサブタイプが存在することが示唆された。
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