1993 Fiscal Year Annual Research Report
NMDA受容体と各種神経伝達物質受容体との機能的相関性-神経細胞障害機序の解明の試み
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04670127
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
大熊 誠太郎 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (30152086)
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Keywords | NMDA受容体 / 神経細胞死 / GABA_A受容体 / カルシウムチャネル拮抗薬 / NG108-15 / Ca細胞内流入 / [^3H]MK-801結合 / 大脳皮質神経細胞 |
Research Abstract |
神経細胞傷害機序を解明する目的で、NMDA受容体の活性による神経細胞傷害を、lactic dehydrogenase(LDH)活性の細胞外への漏出を測定することにより調べ、併せてGABA_A受容体活性化がこの神経細胞傷害にいかなる影響を与えるのかを、Caイオンの細胞内流入の観点から検討を加えた。(1)NMDAを15分間神経細胞に曝露したのち、1時間および24時間後のLDH活性の細胞外漏出を検討したところ、いづれの場合にも用量依存性のLDH活性の細胞外漏出の増加が認められた。これらの増加は、NMDA受容体の特異的拮抗薬であるMK-801により有意に抑制された。(2)GABA_A受容体の特異的作動薬であるmuscimol(Mus)は、NMDA曝露1時間後にみられるLDH活性の漏出を用量依存性に抑制し、GABA_A受容体拮抗薬であるbicuculline(Bic)は、この抑制作用を有意に低下させた。(3)NMDA曝露24時間後に観察されたLDH活性の漏出の増加は、NMDA1時間曝露の場合とは異なり、Musによってなんらの影響をも受けなかった。(4)ついで、NMDA受容体の活性化により細胞化へのCa流入が生じることが知られていること、およびこのCa流入が神経細胞傷害に関係している可能性が従来より報告されていることから、NMDA受容体活性化に伴うCaの細胞内流入の増加に対して、GABA_A受容体活性化がいかなる変化を与えるのかを検討した。(5)NMDAは用量依存的なCa流入増大をもたらした。Musの共存によりこの増加はさらに促進され、またこの促進作用はBicにより用量依存的抑制を受けた。MusによるNMDA誘発性Ca流入の増大はGABA_A受容体に共軛するC1チャネル阻害剤であるピクロトキシニンおよびTBPSによっても影響されず、Caチャネル阻害薬によって抑制された。(6)以上の結果より、NMDA受容体活性化によって生じる細胞傷害発現機序におけるCaの役割は、その急性傷害および遅発性傷害では異なる可能性が示唆される。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ohkuma,S.: "Presence of N-methyl-D-aspartate(NMDA)receptors in neuroblastoma x glioma hyblid NG108-15 cells-Analysis using|^<45>Ca^2|influx and|^3H|MK801 binding as functional measvtres" Mol.Brain Res.(in press).
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[Publications] Ohkuma,S.: "Muscimol prevents neuronal injury induced by NMDA" Japan.J.Pharmacol.64. 125-128 (1994)
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[Publications] Ohkuma,S.: "Pharmacological characteristics of N-methy-D-aspartate(NMDA)receptor in neuroblastoma x glioma hybrid NG108-15(NG cells)" J.Neurochem.61,Suppl.S14 (1993)