1992 Fiscal Year Annual Research Report
筋小胞体カルシウムポンプのATP結合部位の構造と機能に関する研究
Project/Area Number |
04670134
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
鈴木 裕 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (50183421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大保 貴嗣 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90207267)
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Keywords | 筋小胞体 / カルシウムポンプ / ATP結合部位 |
Research Abstract |
家兎骨格筋から分離した筋小胞体を用いて、下記(1-3)の結果を得た。 1.ほとんどすべてのリン酸化部位(触媒部位)がリン酸化する条件で、筋小胞体をATPあるいはPiでリン酸化した。この筋小胞体を界面活性剤(LDS)で可溶化して高速ゲル濾過を行ないCa^<2+>-ATPase蛋白を精製した。この蛋白のリン酸化量は、4.57(ATP)および4.94(Pi)nmol/mg蛋白であった。 2.筋小胞体の特異的FITC結合部位のほとんどすべてをFITCでラベルし、LDSで可溶化して高速ゲル濾過を行ないCa^<2+>-ATPase蛋白を精製した。この蛋白をトリプシンで分解してペプチドマッピングとシークエンシングを行なったところ、Lys-515がきわめて特異的にFITCでラベルされていること、およびこの特異的ラベルはATPで完全に抑制されることが明らかとなった。ラベルされたLys-515の最大量は8.19nmol/mg蛋白であった。 3.ATPによるリン酸化を完全に阻害するLys-515のFITC結合量は6.4nmol/mg蛋白であった。 1と2の結果は、Ca^<2+>-ATPaseの触媒部位含量は、ラベルされたLys-515の量およびCa^<2+>-ATPase蛋白が完全に精製されたとして計算されるCa^<2+>-ATPaseポリペプチド量(9.06nmol/mg蛋白)のほぼ1/2であることを示している。従ってCa^<2+>-ATPase1分子には1個のATP結合部位(Lys-515のFITC結合部位)が存在すること、この内の半数がATPやpiでリン酸化される触媒部位であること(half-of-the-sites reactivity)が明らかとなった。以上よりCa^<2+>輸送の機能単位はCa^<2+>-ATPaseの二量体であることが強く示唆された。また3の結果は、二量体を構成するCa^<2+>-ATPase分子の内の一方に選択的にFITCが結合してATPによるリン酸化を阻害することを示唆している。今後、Ca^<2+>輸送におけるCa^<2+>-ATPaseの分子間相互作用の役割と機構について検討したい。
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Research Products
(1 results)