1992 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内オルガネラ特有糖脂質とその糖鎖特異的受容体の構造解析
Project/Area Number |
04670139
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
櫛 泰典 東京医科歯科大学, 医学部・分子医化学, 助手 (60177988)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
六川 千秋 東京医科歯科大学, 医学部・分子医化学, 技官
飯田 静夫 東京医科歯科大学, 医学部・分子医化学, 教授 (00009987)
|
Keywords | 糖脂質 / オルガネラ膜 / 細胞表面複合糖質 / 糖鎖受容体 / TLC / SIMS |
Research Abstract |
発生、分化及び癌化の各段階において細胞表面に糖鎖抗原が劇的に変化を起こし、その変化に伴う複合糖鎖の同定と詳細な構造解析が行われるようになってきている。本研究はその中で細胞表面複合糖鎖の微量分析法の確立とその発展的応用を行うことを目的とし、初年度はその発展的応用として、細胞膜と同様に細胞社会を組み立てる核やミトコンドリア膜等の複合糖質、特に糖脂質の特徴ずけを行った。組織、及び癌細胞株を用いて比較的調製が容易である核膜とミトコンドリア膜を大量に調製し、常法により糖脂質を抽出、精製した。構造解析には糖鎖特異的ポリクローナル及びモノクローナル抗体と我々が応用開発した薄層クロマトグラフィーより直接質量分析できるTLC/SIMS法を用いて分析した。その結果、組織、あるいは細胞全体でのみで考えられていた複合糖質組成は各オルガネラ膜では非常に異なり、固有の糖脂質組成を持つことが明らかになった。これは本研究以外にアメリカのグループがラット肝臓を用いた実験でほぼ同様の結果を報告していることからわれわれが今回示したものもこれら各オルガネラに特徴ずけられた糖脂質はなんらかの必然性を持ち、各オルガネラ間の認識、更には情報伝達に糖鎖が大いに関与していることを示唆するものである。次年度はこの点を考慮し、各オルガネラ固有の糖鎖の意義をより明かにするためにこれらの特徴ある糖鎖を用いてそれに結合する蛋白質の検索を中心に行い、その精製とまた、糖鎖と糖鎖特異的受容体の相互関連を解明する予定である。
|
-
[Publications] Yoshino,H.: "Isolated Bovine Spinal Motoneurons Have Specific gangliosade Antigens Recognugecl by Sera,from Patlents with Motor Neuro Piseare and Motor Neuropathy" J.Neurochem.59. 1681-1691 (1992)
-
[Publications] Reu,S.: "O-Acetylated Gangliosides in Bovine Buttermilk" J.Biol.Chem.267. 12632-12638 (1992)
-
[Publications] 櫛 泰典: "糖鎖工学(糖転移酵素)" 産業調査会, 680 (1992)
-
[Publications] 櫛 泰典: "複合糖質(シアル酸転移酵素)" 共立出版社, 2134 (1992)