1994 Fiscal Year Annual Research Report
リボソーム28S RNAのもつGTPaseドメインの機能構造
Project/Area Number |
04670140
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
内海 利男 新潟大学, 医学部, 助手 (50143764)
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Keywords | リボソーム / リボソームRNA / GTPaseドメイン / 抗RNA抗体 / 自己抗体 / 自己抗原 / SLE |
Research Abstract |
リボソームRNAは系統的に大変良く保存されており、タンパク質合成において中心的役割を演じていることが示されている。我々はこれまで動物リボソームの28SrRNAの一つの機能ドメインを認識する自己抗体(抗28S)をSLE患者の血清より発見し、これをプローブとしてこの抗原RNAドメインの構造と機能の解析を行ってきた。平成5年度までの研究で、抗28S抗体は真核生物のGTPaseドメインと特異的に結合し、リボソームとペプチド鎖伸長因子との相互作用、およびそれとカップルしたGTP水解反応を阻害することを示し、このドメインが伸長因子の作用部位であると考えてきた。平成6年度は、このドメイン中のペプチド鎖伸長因子EF-2の作用部位、およびこのドメインを認識する抗28S抗体の結合特異性に関与するRNAエレメントをそれぞれ解析し、以下に示すように自己抗原エピトープと伸長因子の作用部位ば一致することをつきとめた。また、多くの自己免疫病患者の血清から抗28S抗体活性の検出を試み、その出現頻度を明らかにした。 1.Footpritingの解析により、ペプチド鎖伸長因子EF-2が作用するとヒト28SrRNAの塩基としてGTPaseドメイン中のG-1959が同定された。 2.抗体によるfoot-printingの解析により、GTPaseドメイン中の塩基G-1959を含む4塩基が抗体との結合に関与することが判明した。 3.大腸菌のGTPaseドメイン中のA-1067(ヒトG-1959と等価の位置にある)をAに置換するだけで抗28S抗体と大腸菌23SrRNAおよび50Sリボソームサブユニットとの強い結合性が生じ、この位置の塩基Gが抗体の認識に重要であることが示された。 4.17%のSLE患者に抗28Sタイプの抗体活性が検出されたが、他の膠原病患者からは検出されず、本抗体の活性がSLE診断のマーカーとして利用できることが明らかになった。
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[Publications] Uchiumi,T.and Kominami,K.: "A Functional Site of the GTPase-associated Center within 28S ribosomal RNA probed with an Anti-RNA Autoantibody." EMBO J.13. 3389-3394 (1994)
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[Publications] Sato,T.et al.: "Serological Association of Lupus Autoantibodies to a Limited Functional Domain of 28S Ribosomal RNA and to the Ribosomal Proteins Bound to the Domain." Clin.Exp.Immunol.98. 35-39 (1994)
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[Publications] 劔邦夫,内海利男: "真核細胞の酸性リボソームタンパク質の構造と機能." 生化学. 66. 342-354 (1994)
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[Publications] 佐藤健比呂ら: "全身性エリテマトーデス患者血清中のリボソーム構成成分に対する自己抗体の解析." 新潟医学会雑誌. 108. 194-199 (1994)
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[Publications] Odani,S.et al.: "On the Molecular Origin of Charge Heterogenity of Rat Liver Fatty AcidBindingPtotein(Z-protein)." Arch.Biochem.Biophys.309. 81-84 (1994)
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[Publications] Hinma,Y.et al.: "Evidence for Conformational Change of Fatty Acid-Binding Protein Accompanying Binding of Hydrophobic Ligands." J.Biochem.116. 1025-1029 (1994)