1992 Fiscal Year Annual Research Report
ガングリオシド生合成に関与するシアル酸転移酵素の単離とその細胞生物学的役割の解析
Project/Area Number |
04670154
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
佐内 豊 (財)東京都臨床医学総合研究所, 生命情報研究部門, 研究員 (40150289)
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Keywords | 糖脂質 / シアル酸転移酵素 / イメージアナライザー |
Research Abstract |
糖脂質シアル酸転移酵素は生体内の比活性が低いこと、膜内在性の酵素であること、抽出した酵素が不安定であること、活性測定が繁雑であることなどから、精製の成功しているものは数少なく、その生化学的性質は殆ど分かっていない。本研究では、酵素の完全精製を行なうため、簡便かつ高感度な酵素測定系を開発した。 目的の酵素の一つであるGM3合成酵素はCMP-シアル酸(CMP-NeuAc)を糖供与体とし、NeuAcを受容体ラクトシルセラミド(Lac-Cer)の末端ガラクトース残基に_α2→3の位置に付加する反応を触媒する。これまでは、反応後生成する[^<14>C]GM3と基質であるCMP-[^<14>C]NeuAcを漉紙電気泳動法、漉紙クロマトグラフィー、逆相カラムクロマトグラフィー法などで分離して、取り込まれた放射能をシンチレーションカウンターで計測する極めて手間のかかる方法が用いられてきた。さらに、これらの方法は反応産物の回収率信頼性に問題があった。今回、これらの問題を解決するため、逆相系薄層クロマトグラフィーとバイオイメージングアナライザーを組み合わせた新しい活性測定法を開発した。この方法は、反応産物をすべて薄層クロマトグラフィーに供し、すべての放射性反応物の変化を高感度に検出するために極めて信頼性の高いものであることがわかった。さらに数10dpmの糖脂質シアル酸転移酵素反応産物を数時間以内に検出定量できることが判った。 この方法を用いて豚の各臓器の比活性を測定し、精製材料を検討した。その結果、GM3合成酵素は顎下腺、肺臓に、GD3合成酵素はすい臓に比較的豊富に含まれていることが分かった。この結果をふまえ、酵素の単離精製を進めている。
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