1992 Fiscal Year Annual Research Report
GATA転写因子群による赤血球特異的な遺伝子発現調節機序の解析
Project/Area Number |
04670157
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 雅之 東北大学, 医学部, 講師 (50166823)
|
Keywords | GATA転写因子群 / 転写制御 / 赤血球分化 / 遺伝子構造解析 |
Research Abstract |
本研究ではGATA転写因子群の細胞分化への関わり、特に赤血球細胞分化の際にGATA因子群の果たす役割を知る目的で、GATA転写因子群の発現および構造の解析を行なった。ヒト白血病由来培養細胞株は分化段階の比較的そろった細胞を大量に入手できる利点を持っており、分子生物学的解析に適しているので、本研究の初期段階としてヒト白血病由来細胞株におけるGATA因子群の発現を検討した。14種類の骨髄性白血病細胞株を検討した結果、2種類を除いたすべての細胞株でGATA-2因子mRNAの発現が観察された。GATA-2mRNAを発現していなかった細胞株はリンパ球系へと分化したNALM-1細胞とGATA-3因子を高レベルに発現していたKG-1細胞である。GATA-2mRNAを発現している細胞株中には、幹細胞抗原(CD34)を発現しているような未分化細胞株が4種類含まれていたことが注目される。これに対して、GATA-1mRNAの発現は赤血球系の分化マーカーの発現とたいへん良く相関していた。赤血球系の分化形質発現にはGATA-1因子の存在が必須であること、また、GATA-2因子はGATA-1因子よりもさらに幼若な骨髄球系細胞に発現し機能していることが示唆される。GATA-1因子に対する特異抗体とゲルシフト法を組み合わせて、これら白血病細胞におけるGATA因子群発現を蛋白質レベルで検討した結果、赤血球系細胞ではGATA-1とGATA-2両因子が同時に発現していることが見出された。さらに、細胞内に両者が共存する場合にはGATA-2因子がGATA配列に結合していること、しかし、GATA-1因子が細胞増殖や分化の各段階を通して恒常的に発現しているのに対して、GATA-2因子の方はそれらの影響を受けて発現レベルが大きく低下する場合もあることが見出され、この際にはGATA-1因子の方が配列に結合するものと予想された。これらのことから、細胞分化の際にはGATA因子群の発現に対して複雑かつ巧妙な調節が行なわれることが理解された。
|
-
[Publications] Mitani,K.: "Differential induction responses of delta-aminolevulinate synthase mRNAs during erythroid differentiation:use of non-radioactive in situ hybridiazation." American J.Hematology. 39. 63-64 (1992)
-
[Publications] Yomogida,K.: "Structure and Expression of the gene encoding rat non-specific form delta-aminolevulinate synthase." J.Biochemistry. 113. 364-371 (1993)
-
[Publications] Konishi,K.: "Genomic structure of the rat neutrophil chemoattractant,gro." Gene.
-
[Publications] Ito,E.: "Erythroid transcription factor GATA-1 is abundantly expressed in mouse testis using an alternative promoter." Nature.