1992 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性サイトカインMCP-1の生体内における発現とその役割
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04670181
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
竹屋 元裕 熊本大学, 医学部, 助教授 (90155052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 眞 熊本大学, 医学部, 助教授 (30045786)
高橋 潔 熊本大学, 医学部, 教授 (70045631)
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Keywords | 単球遊走因子(MCP-1) / 単球 / マクロファージ / 粥状動脈硬化 / 悪性線維性組織球腫(MFH) / モノクローナル抗体 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
これまでに作製した5種の抗MCP-1モノクローナル抗体は、MCP-1αおよびMCP-1βのいずれとも反応することが分かった。そこで、本年度の研究では抗MCP-1モノクローナル抗体ならびにMCP-1cDNAを用いて、粥状動脈硬化症および悪性線維性組織球腫(MFH)についてMCP-1の発現を検討した。 1.粥状動脈硬化に関しては、21例の大動脈粥状硬化病巣について免疫組織化学的に検討した結果、diffuse intimal thickeningおよびfatty streak lesionで血管内皮細胞にMCP-1陽性像が得られた。また、fatty streak lesionでは内皮下のマクロファージ由来と考えられる泡沫細胞にもMCP-1陽性所見が得られた。これらの結果から、粥状動脈硬化の発生初期における単球の内皮下侵入は内皮細胞によって分泌されるMCP-1によって惹起され、以後の単球の内皮下浸入は内皮細胞に加え内皮下に浸潤したマクロファージ自身によって産生されるMCP-1によって増強される可能性が示唆された。 2.MFHは線維芽細胞様細胞と組織球様細胞の混在を特徴とする軟部悪性腫瘍であるが、われわれはMFHに出現する組織球様細胞は反応性の浸潤マクロファージと考え、腫瘍細胞からのMCP-1産生を検索した。MFH細胞株培養上清中にはMCP-1産生が観察され、Northern blottingでMCP-1mRNAが確認された。さらに、腫瘍細胞の免疫組織化学でゴルジ領域にMCP-1の陽性所見が得られた。これらの観察から、MFHに出現する組織球様細胞は腫瘍細胞ではなくMCP-1をはじめとする単球遊走因子によって誘導された宿主由来の浸潤マクロファージと考えられた。 以上の検索から種々の病態におけるマクロファージ浸潤にMCP-1が強く関与することが分かってきた。現在、間質性肺炎および慢性関節リウマチを用いて慢性炎症へのMCP-1の関与を検索中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Takeya,T.Tsuchiya,Y.Yoshimura K.Takahashi: "Are histiocyte-like cells in malignant fibrous histiocytoma really neoplastic ?" Lymphoreticular Cells-Fundamentals and Pathology-(Eds.K.Takahashi,S.-H.Kim)Lymphoreticular Foundation. 315-328 (1992)
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[Publications] M.Takeya,T.Yoshimura,E.J.Leonard,K.Takahashi: "Detection of monocyte chemoattractant protein-1(MCP-1)in human atherosclerotic lesions by an anti-MCP-1 monoclonal antibody" Hum.Pathol.(1993)
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[Publications] 竹屋 元裕、吉村 禎造: "単球・マクロファージ遊走因子 -MCP-1を中心に-" Medical Immunology. 25. 131-137 (1993)