1992 Fiscal Year Annual Research Report
糸球体腎炎自然発症マウス由来、培養メサンギウム細胞の異常反応性の分子機構の解析
Project/Area Number |
04670205
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武曽 恵理 京都大学, 医学部, 助手 (10190852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 武敏 京都大学, 医学部, 教授 (20030851)
嶋田 俊秀 京都大学, 医学部, 助手 (00235623)
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Keywords | 糸球体腎炎モデルマウス / メサンギウム細胞 / 細胞増殖因子 / コラーゲン合成 / 糸球体硬化 |
Research Abstract |
1.培養メサンギウム細胞株の樹立 糸球体腎炎自然発症性であるddY系とRF/J系の弱齢マウスおよび正常対照としてBalb/c系マウスよりパッチクローニング法により各々いくつかの培養メサンギウム細胞株を得た。これらの細胞は免疫組織学的にアクチン陽性、サイトケラチン陰性、第VIII因子関連抗原陰性であり、またpuromycine‐aminoucleosideに抵抗性であることを確認した。これらの細胞株の顕微鏡的観察では、RF/J由来の細胞株が、他のマウス由来の細胞株では見られない集塊状の増殖パターンを呈することが特徴的であった。この所見は、本マウス系が特に早期より硬化性病変を来しやすいことから注目され、現在、細胞接着因子との関連について検討を進めている。 2.血小板由来増殖因子(PDGF)に対する反応性の検討 上述の培養メサンギウム細胞株のPDGF-BBに対する増殖反応を^3H-thymidineの摂取率により検討した。Balb/c由来の細胞はいずれも10ng/ml以内のPDGF-BB濃度依存性に^3H-thymidineの摂取率の増加(400〜1600%)を認めた。一方、ddY系においては摂取率の有意な増加は現在のところ認めていない。また、RF/J系においては全く反応の見られない細胞集団と低反応性(240%以下)を示す細胞系とが得られている。このような糸球体腎炎発症マウスにおける増殖反応性の低下の機序を解析するために、PDGFレセプターの異常や増殖抑制因子の関与について検討中である。 3.コラーゲン合成能についての検討 タイプIVコラーゲンの免疫酵素固相法(ELISA)による定量法を確立し、培養細胞上清中の濃度を測定し、マウス間で比較した。現在、RF/J系の培養上清中のタイプIVコラーゲンの濃度が、Balb/c系に比べて高い傾向がえられており、さらに検討中である。また、タイプIコラーゲンについても併せて検討中であり、今後mRNAのレベルでの解析を行う予定である。
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[Publications] Eri Muso: "A fetal case of Epstein-Barr virus genome-positive tubulo-interstitial nephritis associated with Kawasaki disease-like coronary aneurysms" Clinical Nephrology. (1993)
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[Publications] H.Yoshioka: "Sportmeous development of arti-collager typeII antibodies with NTA and anti-DNA antibodies in senescence-accelerated mice." Autoimmunity. (1993)
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[Publications] 吉田 治義: "メサンギオリーシスと糸球体硬化:心不全腎の検討" 糖尿病性腎症研究会記録集. 3. 16-18 (1992)
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[Publications] 吉田 治義: "糸球体の肥大と硬化:遺伝子的レベルからの解析" 腎と透析. 33. 831-837 (1992)
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[Publications] 吉田 治義: "分子病理学" 杉山武敏・編,文光堂・発行, (1993)