1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04670209
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宮崎 正博 岡山大学, 医学部, 助教授 (90116509)
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Keywords | ヒト肝細胞 / SV40T-抗原遺伝子 / 不死化 / グルタチオンS-トランスフェラーゼπ / 点変異ras遺伝子 / 点変異p53遺伝子 / アフラトキシンB_1 / 癌化 |
Research Abstract |
初代培養ヒト胎児(18週令)肝細胞にSV40 T-抗原遺伝子およびネオマイシン耐性遺伝子を含む組換えDNA(pSV3neoプラスミド)をリン酸カルシュウム沈殿法で移入した後、コロニー性クローニングにより2系のネオマイシン(G418)耐性細胞系(OUMS‐21およびOUMS‐22)を得た。OUMS‐22細胞はcrisisを経て、現在100PDL(細胞集団倍加数)以上に達しており、不死化したと思われる。一方、OUMS‐22細胞はcrisisの後、分裂を停止し、不死化しなかった。両細胞系はともに核に局在するT-抗原を発現する。両細胞系は上皮様形態を示し、ケラチン18単クローン抗体に反応するが、α-フェトプロテインやアルブミンのmRNAを発現しない。しかし、アフラトキシンB_1、ベンズピレンなどの発癌物質に感受性を示す。このことは、両細胞系がこれらの発癌物質を代謝活性化する酵素を維持していることを示唆している。また、両細胞系はグルタチオンS-トランスフェラーゼπ(GST‐π)のmRNAを発現する。さらに、OUMS‐22細胞におけるGST‐πの発現が、不死化にともなって著しく増強した。OUMS‐21細胞の染色体は二倍体領域に分布しており、モードは44である。一方、OUMS‐22細胞は不死化の前後で染色体分布が異なり、不死化前は三倍体から四倍体領域に幅広く分布していたが(モード:83)、不死化後は三倍体領域に分布している(モード:56)。両細胞系はともに軟寒天内で増殖するが、ヌードマウス移植下での腫瘍形成能は認められない。更に、不死化したOUMS‐22細胞に、点変異ras遺伝子[pRASneo(E61AM12)]とハイグロマイシン耐性遺伝子[pSV2hyg]を10:1比で同時移入し、ハイグロマイシン耐性細胞を分離し、ヌードマウスに移植したが、腫瘍形成は観察されなかった。現在、ras移入細胞に、さらに点変異p53遺伝子[pCDM8U251/neo]を移入して癌化を試みている。また、アフラトキシンB_1処理による細胞の癌化も試みている。
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Research Products
(1 results)