1992 Fiscal Year Annual Research Report
増殖刺戟下の標的細胞における変異原・癌原物質による染色体切断の増治作用
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04670212
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
植田 規史 愛媛大学, 医学部, 教授 (30030886)
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Keywords | 増殖因子 / 染色体切断 / 姉妹クロマチッド交換 / 変異原物質 / 化学発癌剤 / 染色体異常 / 標的細胞 |
Research Abstract |
(1)変異原・癌原物質による骨髄細筋の染色体切断(CA)及びクロマチツド交換(SCE)頻度が造血刺激で増強され、反対に骨髄抑制によりCA及びSCEが抑制される事、造血抑制を行なっても、エリトロポイエチンにより刺激すると短時間で再び骨髄細胞CA及びSCEを高めることを証明したが、培養系でも各種細胞増殖因子により培養細胞に同様の変化が見られた。即ち肝細胞培養系ではliser cell growth factedにより、変異原物質のCA、SCE発生頻度は増強され、fiboblast growth factor投与により線維芽細胞の染色体のCA及びSCEは増強された。 (2)増殖刺激を受けた標的細胞では、変異原・癌原物質によるCA及びSCEは増加するが、その変異原の種類にかかわらず(化学構造の異なっいてる物質) 染色体間分布は一宅の法則によりおこり、染色体の長さに比例するのではなく、No2染色体に最初は多発し、後に時間とともに減少した。他の染色体では、時間とともに増加してゆく傾向が見られた。CAとSCEの発生部位は、染色体について調べたがNo.1染色体では40%(動原体の距離を指標とした)の部位に集中し、No.2染色体では30%、55%、80%の部位に変換が集中した。この現象は、変異原作用後、6時間でみるとCAとSCE集中部位は一致しており、増殖刺激があると、同じ部位の切断及び交換の発生頻度は増加した。従って、両方の染色体異常現象は、関連した現象と考えられる。又、興味あることに、増殖刺激があると染色体の切断部位は、特定の部位に集中しておこっていることが明らかになった。DNA合成、複製の時期と一致していることがわかる。一方、この切断集中部位は、fragile siteの位置と一致していることもこの研究から明らかとなり、腹痛などに起こる時異的染色体異常の関連性が疑われる。今後は遺伝子座との関連性を検討したい。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 木藤 克己: "神経芽細胞における癌抑制遺伝子p53及び癌関連遺伝子K-ras,N-rasの点突然変異の検討" 日本病理学会会誌. 81. 240 (1992)
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[Publications] 木藤 克己: "乳癌における癌抑制遺伝子p53の点突然変異の検討" 日本癌学会総会記事. 51. 131 (1992)
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[Publications] 杉田 敦郎: "乳癌における抗血管増殖因子の作用" 日本癌学会総会記事. 51. 306 (1992)
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[Publications] 武井 由美: "ヒト乳癌におけるp53蛋白の発現" 愛媛医学. 11. 69-71 (1992)
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[Publications] 木藤 克己: "神経芽細胞腫におけるp53遺伝子及びK-ras N-rasの点突然変異の検討" 小児がん. 29. 295-297 (1992)