1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04670219
|
Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
森 浩志 大阪医科大学, 医学部, 教授 (40028519)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 裕啓 大阪医科大学, 医学部, 助手 (10232480)
|
Keywords | 精巣間細胞 / 幹細胞 / 再生 / Ethanedimethanesulfonate / ラット / テストステロン / bromodeoxyuridine |
Research Abstract |
Ethanedimethanesulfonate(EDS)の一回投与によって精巣間細胞(Leydig細胞:L細胞)は選択的に障害されるが、1月後にはその障害から回復する。EDSの反復投与後も一回投与後と同様な回復過程がみられるか否かを検討するために、初回投与30日後に2回目の投与(75mg/kg,ip)を行い、経時的に組織像の観察と形態計測、血中テストステロン(T)値の測定およびbromodeoxyuridine(BrdU)Iabeling indexによる細胞増殖能の算定を行った。 血中T値は投与後2-4日の間、著明に低下し、7日目から上昇し始め、30日後には対照群よりも高い値に回復した。前立腺重量は初回投与の影響で、対照群よりも低い状態が続いたが、2回投与後4-14日の間はさらに減少し、30日後には回復した。精巣重量は初回投与による精細管の障害のための軽度の減少が2回投与後30日間継続したが、2回目の投与による影響はなかった。精巣単位体積当りのL細胞の数および体積はともに2日目に著明に減少し、4日目から増加し始め、14日目には対照群とほぼ同じ値に回復した。形態学的には投与2、4日目のL細胞は数が減少し、サイズが小となり、脂肪滴を欠いていた。しかしL細胞の崩壊像はみられなかった。7日目になると、脂肪滴が出現し、細胞が肥大し始めた。30日後には対照群と区別がつかない状態に回復した。BrdU labeling indexは2日後に急峻に上昇し、14日後には対照群と同じになった。 以上の成績は、EDS初回投与1月後のL細胞はEDS障害作用から回復していること、2回投与後も初回投与後と同様にL細胞の相当数が死滅するが、4日後から再生が始まり、1月後には復旧することを示している。昨年度の成績と併せ考えると、L細胞にはEDSの障害を受けない幹細胞が存在し、その細胞分裂によって成熟L細胞が供給されると結論される。
|