1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04670227
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川本 文彦 名古屋大学, 医学部, 講師 (40115556)
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Keywords | グラミシジン / 抗生物質 / 抗マラリア作用 / 溶血反応 / マラリア原虫 / ネズミマラリア / 熱帯熱マラリア / 膜蛋白 |
Research Abstract |
1.ネズミマラリア・熱帯熱マラリア原虫を用いた試験官内溶血作用の検討 ネズミマラリア(ANKA株)感染マウス赤血球と熱帯熱マラリア(FCR-3株)感染人赤血球をRPMI-1640で10%に希釈し、グラミシジンを添加して溶血反応をOD.540nmで測定した。その結果、濃度依存的にマラリア感染赤血球の溶血が観察され、マラリア感染赤血球と正常赤血球の溶血選択性は500倍以上に達し、明らかにマラリア感染赤血球膜に特異的な表層蛋白との相互作用による溶血反応の結果と考えられた。電子顕微鏡による観察では明かに感染赤血球からヘモグロビンが溶出していた。一方、バベシアに対する影響を調査したが、感染マウス赤血球の溶血は認められず、マラリア感染に特異的なグラミシジンの溶血作用と考えられる。この溶血反応は4度では認められず、何等かの酵素の活性化によるものと考えられた。 2.ネズミマラリアをモデルとした治癒効果に関する検討 ネズミマラリアとマウスを用いたグラミシジンの治癒効果について検討では、寄生率約30%の感染マウスに一日一回2mg/kgの腹腔投与を5日間行なうのみでマラリア原虫の消失が観察され、顕著な治癒効果が認められた。また、感染後直ちに腹腔投与を開始し、4日間投与した場合、マラリア感染は阻止された。 3.グラミシジンの作用機構に関する検討 マラリア感染赤血球膜の表面には、多くのマラリア由来蛋白質が輸送されており、これらの蛋白質との結合が考えられた。そこで、グラミシジンをリガントとしたアフィニティクロマトグラフィー(Batch法)によって分析を試みた結果、SDS-PAGEで約30KDの単一な蛋白が回収され、正常赤血球膜には見られないマラリア特異的な蛋白と思われた。
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Research Products
(1 results)