1992 Fiscal Year Annual Research Report
T.cruziのトランス・シアリダーゼ:遺伝子構造,酵素活性と機能
Project/Area Number |
04670228
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
上村 春樹 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (60184975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神原 廣二 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (20029789)
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Keywords | クルーズトリパノソーマ / トリポマスチゴート / トランスシアリダーゼ / ノイラミニダーゼ |
Research Abstract |
Trypanosoma cruziは、Chagas病の原因となる細胞内寄生原虫であり、有効な治療薬もワクチンもない。その原因の一つは複雑なLife cycleにあるが、感染過程の分子レベルでの理解が十分でないことにもあると思われる。 T.cruziは様々の哺乳動物に感染し、しかも、種々の細胞に侵入して増殖する。感染型trypomastigoteが宿主細胞に侵入する際の機構は十分には明らかになっていないが、レセプターを介していると考えられている。そして、ある種の細胞との接着には、原虫表面のシアル酸を含む分子が重要であることが報告されてきた。しかしT.cruziはシアル酸を合成することが出来ない。この矛盾は、trypomastigoteの表面に、血清中に存在する宿主由来の糖複合体から原虫表面の受容体へとシアル酸残基を転移するトランスシアリダーゼ、この原虫特有の酵素が存在することが示されて、最近解決した。私はこのトランス・シアリダーゼの遺伝子クローニングと発現を行い、従来から問題となっていたいくつかのことを調べた。 まず、T.cruziには、シアル酸をtargetとし、しかも侵入に重要な役割をしている酵素としてノイラミニダーゼ(シアリダーゼ)が知られていたが、1つの遺伝子産物が両方の酵素活性を持つことを示した。そして、この酵素の遺伝子は、非常に良く似た一群の遺伝子ファミリーとして存在し発現していること、活性のある酵素蛋白を与えるのはそのうちの一部のみであること、さらに、それらの酵素活性の有無を左右しているのは限られた領域のアミノ酸残基の違いであることを明かにした。
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Research Products
(1 results)