1992 Fiscal Year Annual Research Report
細胞傷害性T細胞による細胞内寄生体の排除に関する分子機構
Project/Area Number |
04670244
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
小出 幸夫 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (30126809)
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Keywords | 細胞傷害性T細胞 / 細胞内寄生体 / BCG / RT-PCR |
Research Abstract |
この研究の目的は細胞傷害性T(Tc)細胞の標的細胞内寄生菌に対する影響をみることにある。この目的を達成するため、次の二つの方向からアプローチしている。1)BCG特異的Tc細胞の誘導とそのキラー活性の測定、2)細胞内寄生BCG菌の傷害度の迅速測定法の確立とこれによるTc細胞のBCG菌に与える影響の測定。 1)膜腔及び静脈にBCGを投与して経時的(1、2、3、4週)にひ臓細胞を採取、更にin vitroでBCG刺激を3日間行い、Tc細胞を誘導した。標的細胞としては骨髄由来のマクロファージとBALB/c由来のマクロファージ細胞株J774.1を用いた。骨髄由来マクロファージは骨髄細胞をL929細胞の培養上清と共に一週間培養することによって得た。これを標的細胞としてBCGを感染させた場合、感染による細胞の変性効果が強く、標的細胞としては不適当であった。そこで、J774.1細胞株を用い、これにBCGを感染させ標的細胞とした。J774.1ではBCGによる細胞変性効果は軽微であったが、6時間_<51>Cr遊離法ではTc細胞のキラー活性が明瞭ではなく、もっと長時間の細胞傷害試験を行う必要があることが明かとなった。そこで現在、より長時間の細胞傷害能を測定する方法を検討している。 2)細胞内寄生BCG菌の傷害性に関する迅速測定法を確立した。Tc細胞による標的細胞内BCG菌の損傷の有無及び程度を測定するには、従来コロニー数を数えていたが、この方法では3〜4週間を必要とする。そこで、迅速に測定するためreverse transcriptase-polymerase chain reaction(RT-PCR)法を用いた。即ち、BCGのmRNAをPCRによって定量するものである。この方法により、細胞傷害性試験の際の標的細胞から得られた微量BCGmRNA量を半定量的に測定できた。
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[Publications] Ishizuka, R.,: "Biochemical analysis of HLA-DR antigens using one-dimensional isoelectric focusing gel phoresis" Tissue Antigens. 39. 220-224 (1992)
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[Publications] Matsubara, K.: "A rapid and sensitive method for HLA-DRB1 typing by acridinium- ester-labeled DNA probes." Hum.Immunol. 35. 132-139 (1992)
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[Publications] Takemura, Y.: "Effect of verapamil on the class I major histocompatibility complex antigen expression in K562 chronic myelogenous leukemia cells treated with recombinant human interferon-γ." Cancer Letters. 65. 99-106 (1992)
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[Publications] Ryu, K.: "Inhibition of tyrosin phosphorylation prevents IFN-γ-induced HLA-DR molecule expression." J.Immunol.
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[Publications] 小出 幸夫: "細胞内寄生体の増殖抑制機構:インターフェロン-γによるindcleamine2,3-dioxygenase(IDO)遺伝子発現" 日本細菌学会雑誌. 47. 689-694 (1992)
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[Publications] 生田 譲: "慢性関節リウマチの培養滑膜細胞におけるインターロイキン1の産生誘導機能" リウマチ. 32. 300-307 (1992)
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[Publications] Koide,Y.(分担): "Molecular Approaches to the Study and treatment of Human Diseases" Ecepta Medica(Amsterdum), 455(323-337) (1992)