1993 Fiscal Year Annual Research Report
非特異的感染防御における内毒素結合蛋白の役割:内毒素の無毒化機構の解析
Project/Area Number |
04670250
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
平田 陸正 岩手医科大学, 医学部, 講師 (20048359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 有子 岩手医科大学, 医学部, 助手 (90206251)
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Keywords | リポ多種(LPS) / エンドトキシン / LPS結合蛋白 / LPS中和 / 組織因子 / 抗菌活性 |
Research Abstract |
我々は、ウサギ顆粒球からエンドトキシン(LPS)と結合しこの活性を中和する新しい18kDa蛋白(CAP-18)を精製し、cDNAクローニングによって全一次構造を決定した。この蛋白のC-末端37個のアミノ酸からなる7kDaのペプチド(CAP-7)が、LPS結合ドメインであることを種々の合成ペプチドをもちいて明らかにした。このペプチドの一次構造上の特徴として、ヘパリン結合ドメインを持っており、これがLPSとの結合、その中和および抗菌活性発現に重要であることを見いだした。この合成ペプチドは抗凝固活性をも有しており、その機序を解明するため凝固因子(プロテアーゼ)に対する合成基質を用いて解析した。その結果、抗凝固はX因からXaへの活性化およびII因子(プロスロンビン)からIIa(スロンビン)への活性化に対する阻害作用によることが明かとなった。影響を与えないことなどから、リン脂質が介在しない系をも阻害することや、過剰のリン脂質添加が抗凝固活性に影響を与えないことなどから、抗凝固の機作としてペプチドの凝固因子に対する直接作用などが考えられた。ウサギ由来のCAP-18の一次構造に基づきヒト顆粒球からCAP-18とホモロジーの高いcDNAを単離することに成功した。ウサギのペプチドと同様、ヒトでもC末端32残基がLPS結合ドメインであった。しかし、抗菌活性はウサギのペプチドの1/5-1/10程度と弱かった。ヒトのペプチドには完全な形のヘパリン結合ドメインが欠けており、一部のアミノ酸をウサギのペプチドの配列と置換したものは抗菌活性、LPS中和活性さらに抗凝固活性がより高くなった。従って、この実験からも、種々の活性発現におけるヘパリン結合ドメインの重要性が支持された。これらのペプチドについて2次あるいは3次構造の比較から、より活性の高いもの合成し臨床応用を目指している。これらのペプチドは生理的物質であり、感染に対する防御蛋白として機能していることが示され、生体防御機構を研究する上でも興味深い。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Larrick.J.W,Hirata,Metsl: "Antimicrobial activity of rabbit CAP18-derived Peptides." Antimicrob.Aglnts.Chemother.37. 2534-2539 (1993)
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[Publications] Larrick.J.W,Hirata,Metsl: "A novelgranalocyte-derived peptide with LPS neutralizing activity" J.Immunol. 152. 231-240 (1994)
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[Publications] Hirata M.et al: "Characterization of a rabbitcationic protein(CAP18)with lipopolysaecharide-inhibitory activity" InF.Immun.62(inpres). (1994)
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[Publications] 平田陸正ほか: "エンドトキシンの活性を中和する新しい蛋白質:マクロファージからの組織因子産生を指標として" 血栓止血誌. 4. 153-162 (1993)
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[Publications] 平田陸正,下村有子: "エンドトキシン結合性合成ペプチドの抗凝固活性" 血栓止血誌. 5. 17-27 (1994)
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[Publications] Hirata M.et al: "Endotoxin-neutralizing,antibacterial and anticoagulant activities rabbit CAP18 derived" Gram Xefaica Sipsis:Basic-Science to clinical Investigation. (in press). (1994)
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[Publications] 平田陸正(分担): "南江堂(1994年秋刊行予定)" エンドトキシン、最新の研究成果とその検査言論治療への応用. 300-400 (1994)