1992 Fiscal Year Annual Research Report
コンポーネント発現系を用いたウイルス構造蛋白質の解析
Project/Area Number |
04670269
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩本 愛吉 東京大学, 医学部(医), 助教授 (10133076)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳 雄介 東京大学, 医学部(医), 助手 (40182365)
吉倉 廣 東京大学, 医学部(医), 教授 (60012754)
|
Keywords | レトロウイルス / Gag蛋白質 / Env蛋白質 / 麻疹ウイルス |
Research Abstract |
(1)レトロウイルスGag蛋白質コンポーネントの発現:本来はGag前駆蛋白質からプロセスされてはじめて発現するマウス白血病ウイルス(MLV)のキャプシド蛋白質(p30)を、単独で発現可能な形にPCRで増幅し、SRaベクターに組み込みマウス線維芽細胞に導入した。p30に対する単クローン抗体で蛍光染色すると、単独発現したp30は核局在化傾向を持つ。一方、Gag前駆蛋白質の形で発現させてp30に対する単クローン抗体で調べると、細胞質に局在する。p30のアミノ酸配列を詳細に検討するとC末端にいわゆる核移行シグナル(NLS)と思われる配列がある。Gag前駆蛋白質は、そのN末端をミリスチン酸修飾され細胞膜下に運ばれることが知られているが、p30単独発現系ではこのミリスチン酸修飾部位が無いため、p30内部の核移行シグナルの効果が現れたと考えられる。現在この核移行シグナルを欠損したp30の発現を行なっている。SV40プロモーターを用いた発現系の効率は、本研究の対象であるマウス線維芽細胞では良くない。発現効率をあげる工夫のなかから、MLV・LTRを用いる発現系では効率の良い発現のためにはスプライシング部位が重要であることが分かった。 (2)レトロウイルスEnv蛋白質の発現:MLV・LTRをプロモーターとしてプライシング機構の下流にenv遺伝子を挿入した場合のEnv蛋白質の発現効率は良い。一つのシステイン残基に変異のあるEnv蛋白質は細胞内輸送に異常をきたし、粗面小胞体に留まることが分かった。 (3)麻疹ウイルス糖蛋白質コンポーネントの発現:ウシ・パピローマウイルスベクターにより麻疹ウイルス血球凝集素の遺伝子をJarkat細胞に発現させたところ、粗面小胞体からゴルジ体への移行が悪く細胞表面での発現が少ない。さらに検討中である。
|
Research Products
(1 results)