1993 Fiscal Year Annual Research Report
狂犬病ウイルスの神経病原性発現の分子的基盤-宿主細胞因子の解析
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04670272
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
河合 明彦 京都大学, 薬学部, 教授 (70027332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 金次郎 京都大学, 薬学部, 助手 (80183664)
相良 淳二 京都大学, 薬学部, 助手 (10225831)
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Keywords | 狂犬病ウイルス / ウイルスの病原性 / ウイルスレセプター / アセチルコリンレセプター / 神経病原性 / 細胞融合能 / ウイルスの侵入 / ウイルスの臓器特異性 |
Research Abstract |
本年度の研究では、まず神経芽腫細胞(NA)と狂犬病ウイルス野性株(いわゆる街上毒)との相互作用について解析を行った。NA細胞はブチル酸ソーダで処理することにより細胞分化形質の発現を誘導すると街上毒に対する感受性が高まると同時にアセチルコリンレセプター(AChR)遺伝子の発現も大きく増加することがわかった。またNA細胞の分化誘導によりAChRの種々のサブユニットのうち、α_3およびβ_2が発現することが示された。これに対して脳内継代により末梢感染力を失った狂犬病ウイルス実験室株(いわゆる固定毒,例えばTEP株やERA株がある)に対して、NA細胞は分化誘導をさせなくても十分に高い感受性を示した。一方、比較として非神経由来のBHK-21やCOS-7細胞について調べると、これらは固定毒に対しては十分に高い感受性を示すのに対して、街上毒に対する感受性は非常に低いことがわかった。従って、このような細胞を用いることにより、神経細胞に特異的な因子を固定することが可能になることが示唆された。この問題と関連して、昨年度から引き続き行ってきたAChRのα_3およびβ_2サブユニットの遺伝子のクローニングの作業は本年度の初めに完成した。次にこれらの遺伝子を大腸菌で発現させてその産物の大きさを調べたところ期待するものが作られることがわかったので、これを精製して、免を免疫し抗AChR抗血清を作成することができた。次にこの抗血清を用いて、NA細胞における狂犬病ウイルスの感染に及ぼす阻止効果を調べたところ、感染が有意に阻止されることが分った。以上に述べた実験結果はAChRが狂犬病ウイルスの感染の成立に重要な関わりを持つことを示すものである。この結論を確かめるために、現在AChR α_3,β_2両遺伝子をCOS-7細胞に発現させて街上毒の感染効率に及ぼす効果を調べる作業を進めている。今の段階では両サブユニットとも発現がみられるが、同一の細胞でうまく発現させる工夫が必要となっており、今後の研究課題である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Sagara,Junji: "Identification of heat shock protein 70 in the rables virion." Virology. 190. 845-848 (1992)
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[Publications] Morimoto,Kinjirou: "Shedding of Gs protein(a soluble form of the uwal glycoprotein)by the rabies virus-infected BHK-21 cells." Virology. 195. 541-549 (1993)
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[Publications] Sakamoto,Shin-ichi: "Studies on the antigenicity and nucleotide sequence of the rabies virus Nishigahara strain,a current seed strain used for dug vaccine production in Japan." Virus Genes. (in press). (1994)
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[Publications] Kawai,Akihiko: "Functional Aspects of lyssarims antigens." Current Topics in Microbiology and Immunology. (in press). (1994)