1992 Fiscal Year Annual Research Report
ジーンターゲティング法により作製された変異マウスを用いたB細胞分化制御機構の研究
Project/Area Number |
04670291
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北村 大介 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (70204914)
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Keywords | ジーンターゲティング / 膜型μ鎖 / λ5 / B細胞分化 / 遺伝子再構成 / HS1 |
Research Abstract |
免疫グロブリン(Ig)膜型μ鎖はプレB細胞においては、VpreBとλ5の2つの蛋白と共に複合体(プレB細胞レセプター)を形成し、Ig遺伝子再構成や細胞分化を制御していると考えられている。これを個体レベルにおいて明らかにするために、我々はジーンターゲティング法を用いて、膜型μ鎖或はλ5蛋白を欠損する遺伝子変異マウス(μMT或はλ5T)を作製した。これらのマウスの骨髄細胞を様々な細胞表面抗原に対する抗体で多重染色し、フローサイトメトリーを用いて解析した。正常マウスにおいては細胞表面IgM陰性である幼若B系細胞中70%はCD43陰性の小型プレB細胞であるのに対しμMT及びλ5TマウスにおいてはそのほとんどがCD43陽性の大形プレB或はプロB細胞であった。即ち、これらの変異マウスにおいて、大型プレB細胞の段階で分化が抑制されていた。よって、プレB細胞レセプターがこの分化に必要であることがわかった。また、セルソーティングによって得られた異なる分化過程にある細胞画分のそれぞれよりDNAを抽出し、PCR法を用いて調べたκ鎖遺伝子再構成は、正常マウスと同様、これら変異マウスにおいても初期幼若細胞から始まっており、κ鎖遺伝子再構成の開始が膜型μ鎖或はプレB細胞レセプターに依存するという従来の説を覆す結果となった。一方、我々が以前単離した血球系細胞特異的遺伝子HS1の産物である75kDの蛋白は抗IgM抗体刺激直後のB細胞においてリン酸化されること、そしてこれは膜型IgMに会合するチロシンキナーゼLynによるものであることがわかった。新たに作製した抗体を用いた解析の結果、HS1蛋白はB細胞株の細胞質内に発現しており、一部の細胞では核内にも発現が見られた。現在、HS1蛋白の様々な欠失変異体を作製し、Lynとの会合及び細胞内局在を規定する分子内ドメインを検索している。
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[Publications] Kitamura,D.,Rajewsky,K.: "Targeted disruption of the membrane exon of the μ chain results inloss of heavy chain allelic exclusion." Nature. 356. 154-156 (1992)
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[Publications] Kitamura,D.Kudo,A.,Schaal,S.et al: "A critical role of λ5 protein in B cell development." Cell. 69. 823-831 (1992)
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[Publications] Ehlich,A.,Schaal,S.,Gu,H.,Kitamura,D.et al: "Immunoglobulin heavy and light cahin genes rearrange independently at early stages of B cell development." Cell.
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[Publications] Takeda,S.,Zou,Y.,Bluethmann,H.,Kitamura D.et al: "Deletion of the immunoglobulin κ chain intron enhancer abolishes κ chain gene rearrangement in cis but not chain gene rearrangement in trans." EMBO J.
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[Publications] Yamanashi,Y.,et al: "Identification of HS1 protein as a major substrate of protein-tyrosine kinase(s) upon B cell antigen receptormediated signaling." Proc.Natl.Acad.Sci.USA.