1992 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児嘔吐下痢症における母乳哺育の予防効果に関する追跡調査
Project/Area Number |
04670335
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
曽田 研二 横浜市立大学, 医学部, 教授 (80154706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 誠一 横浜市立大学, 医学部, 講師 (90106302)
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Keywords | 乳幼児嘔吐下痢症 / ロタウイルス / 母乳抗体 / 酸素逸疫定量(ELISA)法 / 母乳哺育 |
Research Abstract |
ヒトロタウイルス(HRV)を主たる病原とする乳児嘔吐下痢症は、乳幼児を中心に冬期流行を繰り返している。感染症サーベイランスによれば、近年の本下痢症罹患率は0歳代が多くなっている。この理由として、乳児期栄養法、特に母乳栄養率の低下(近年の混合栄養率60%、人工栄養率10%)が関連しているものと思われる。母乳にはHRVに対するIgA抗体が含まれているが、乳児嘔吐下痢症に対する母乳哺育の予防効果については明らかではない。我々は、1987年7月-1990年7月までに産婦約1450人から、母体血清、臍帯血清、初乳を採取しHRV抗体を測定している。本研究は、その出生児が3〜5歳に達することから、追跡調査(本下痢症の罹患調査、母乳育児の有無・期間)を行い、母体抗体(移行抗体、母乳抗体)と本下痢症罹患との関連性を調査し、乳児嘔吐下痢症に対する母乳抗体の予防効果とその意義を明らかにすることを目的としている。平成4年度は次の研究項目を実施した。 1.追跡調査対象者の把握:母体血清、初乳を採取した神奈川県足柄上病院の産婦1450人の出生児について、出産時情報(体重、経産・初産など)の整理及びコンピュータ入力を行った。(分担:曽田) 2.HRV特異抗体測定:母体血清のIgGクラス、初乳中のIgAクラスHRV抗体を測定した。HRV抗体保育率は各々93%であった。 3.出生児追跡調査:対象児の内、1987〜1989年までの出生児を対象に、本下痢症の罹患の有無、母乳哺育期間等に関する第1次調査を行った。その中間集計では、母乳哺育率が36%、混合栄養率が57%、人工栄養率が7%であった。この成績は先に実施した横浜地域の成績とほぼ同様であった。(分担:市川) 4.同地域保健所の乳幼児健康診断対象児の下痢症罹患調査:この調査については次年度に予定を変更した。
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