1994 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児突然死症候群における肺臓での換気障害に関する病理組織学・超微形態学的研究
Project/Area Number |
04670350
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Research Institution | GIFU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大谷 勲 岐阜大学, 医学部, 教授 (80021393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 一也 岐阜大学, 医学部, 助手 (00229410)
武内 康雄 岐阜大学, 医学部, 助教授 (50165510)
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Keywords | 乳幼児突然死症候群 / 肺 / 肺水腫 / 微小血栓 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
生後2か月から1歳半までのSIDS事例28例、生後1日から64歳までの窒息死事例12例、生後4か月から9歳までの溺死事例6例を用いて組織学的な検討を行った。検索した28例のSIDS事例においては全例に浮腫が認められ、SIDS事例の中には窒息死例や溺死例に比べて程度の強い肺水腫を示す例が認められた。しかし、SIDS事例の中で程度の強い肺水腫を示す事例の多くは搬送先の病院で輸液を受けた事例であり、SIDS事例において肺水腫の程度が窒息死例や溺死例に比べて強いといった結果はえられなかった。つぎに、窒息死に際してしばしば肺に認められる特徴的な組織学的所見とされる肺の血管内での血小板や白血球、フィブリンからなる微小血栓の出現程度を、各事例群における30視野あたりの微小血栓の平均個数を指標として検討したところ、SIDS群では平均5.67±6.65個、窒息死群では平均5.78±3.42個、溺死群では平均4.8±1.77個となり、各群の間には差は認められなかった。しかし、SIDS群を組織学的に細気管支から抹消への胃内容物などの急性の吸引を認める群と、それを認めない群に分けて微小血栓の出現について検討したところ、吸引を認めた13例のSIDS事例群では平均9.86±7.85個であったのに対して、吸引を認めなかった15例では平均2.02±1.39個であり、吸引を認めた事例に多く認められる結果がえられた。 電子顕微鏡による観察は生後3か月、4か月、6か月、8か月および1年の5例のSIDS事例について行い、肺胞壁に浮腫によると思われる変化が認めた。つぎに、頭部外傷で死亡した1歳3か月児を対照事例として、肺胞壁の浮腫の程度を調べるために、死後変化の少ない事例についてmorphometricalな手法を用いて、肺胞細胞表面から:肺胞の毛細血管の内皮細胞表面までの厚さを測定したところ、観察した3例(3か月、4か月、6か月)のSIDS事例での平均の厚さはそれぞれ0.61、0.62、0.65μm、対照事例での平均の厚さは0.63μmであり、SIDS事例が有意に厚いといった結果は得られなかった。
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