1993 Fiscal Year Annual Research Report
二段階PCRを利用した超微量DNA試料からのDNA多型性分析に関する研究
Project/Area Number |
04670352
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
勝又 義直 名古屋大学, 医学部, 教授 (30109326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
打樋 利英子 名古屋大学, 医学部, 助手 (20223571)
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Keywords | HLA-DQA1 / Semi-nested PCR / Sequence-specific Oligonucleotide Probe / Single Genome / Single Sperm |
Research Abstract |
DNAを利用した個人識別法は、各細胞に全ての情報が含まれていることから、極めて高い精度が期待されている。とりわけDNAポリメラーゼによる増幅反応(PCR)を用いれば、微量の資料からも分析できることから、法医鑑定への応用も進められている。しかし、PCR法でも、DNAとして2ng(500個から1000個に相当する)以上必要とされることから、微量陳旧資料への応用のため、さらに感度を上げることが望まれていた。通常のPCR産物を再度同じPCR反応で増幅させることを試みても、充分効率的な増幅がみられないことから、本研究では、PCR産物の中で、さらに新しいプライマー部位をデザインし、HLA-DQA1遺伝子の二段階PCRを工夫したところ、効率的な増幅がみられ、2ないし3pg(1個の細胞に相当する)以上のDNAからタイピングを可能とすることができた。ただ、通常のPCR条件では、高感度のためHLA-DQA1遺伝子のみでなく、構造のよく似た偽遺伝子もある程度増幅してしまう。このようなことが起こると、PCR反応による増幅は問題なく起こったようにみえるが、タイピングの差異に塩基配列特異的プローブ(SSOプローブ)が増幅された偽遺伝子にも結合してしまい、正確なタイピングができないことがわかった。この現象は1回目のPCR条件を厳しくして偽遺伝子の増幅を抑えることにより克服することができた。マイクロ・マニピュレーターにより1個の精子を採取し、本法によりHLA-DQA1型のタイピングを実施したところ、他のDNAの混入もあまりなく、大半の試料で1個の精子から正確にタイピングすることができた。
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[Publications] Uchihi,R.et al.: "Deoxyribonucleic acid(DNA) typing of human leukocyte antigen (HLA)-DQA1 from single hairs in Japanese." Journal of Forensic Sciences. 37(3). 853-859 (1992)
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[Publications] 玉木敬二ら: "医学におけるバイオテクノロジー(17)-DNAによる個人識別法-" 現代医学. 40(1). 169-174 (1992)
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[Publications] Okajima,H.et al.: "Amplification of HLA-DQA1 gene from bloodstains by polymerase chain reaction." Japanese Journal of Legal Medicine. 47(1). 6-12 (1993)
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[Publications] 小島俊典ら: "唾液斑痕を試料としたHLAクラスII遺伝子のDNA型判定" 日本法医学雑誌. 47(5). 380-386 (1993)