1992 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞骨格蛋白並びに神経伝達物質受容体に関する法病理学的研究
Project/Area Number |
04670357
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中園 一郎 長崎大学, 医学部, 教授 (30108287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 亮一 長崎大学, 医学部, 助手 (20098875)
久保 真一 長崎大学, 医学部, 講師 (10205122)
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Keywords | 法病理学 / 免疫組織化学 / グリア系細胞 / 熱ショック蛋白 / 神経伝達物質受容体 |
Research Abstract |
低酸素性もしくは虚血性脳障害時のグリア系細胞の動態について、脳障害の程度並びに病態の持続時間により差異の生じることを明らかにした。即ち比較的早期のかつ軽度の低酸素性もしくは虚血性脳障害時には、グリア系細胞の1つであるアストロサイトが膨化し、またストレス蛋白(熱ショック蛋白)である72kD熱ショック蛋白が神経細胞の胞体に極めて早期に発現することを明らかにしている。また障害の程度及びその持続時間がより長くなるとアストロサイトは増生してくるし、かつグリア系のもう1つの細胞であるミクログリアも増生してくる。 脳死の脳は、レスピレーターの影響により崩壊し、通常の染色法では生前の基礎病変を明確に診断するのは困難である。しかし、グリア系の細胞の動態を免疫組織学的染色法により詳細に検討することにより、脳死状態になる基礎病変をある程度明らかにできる結果を得ている。 アルコール中毒者の脳では、神経細胞に形態学的異常が認められないにもかかわらずグリア系細胞の増生が認められた。また、シンナー中毒死例では海、馬回に特異的にアルツハイマーII型のアストロサイトが認められた。 中枢神経系に一次的病変のない新生児〜高齢者の脳の凍結標本を試料とし、神経伝達物質受容体(serotonin receptor,beta-adrenergic receptor)の局在と定量をオートラジオグラフィーで精査し、これらの受容体と加齢による変化について興味深い知見を得ている。
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